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株式会社チャレナジー 清水社長 経営者インタビュー

第21回「ベンチャー企業に聞いてみよう!」では、“台風発電”も可能な次世代の風力発電機を開発されている株式会社チャレナジーの代表取締役CEO、清水敦史様にインタビューさせて頂きました!

インタビューアー 漆原怜奈(清泉女子大学4年) 大村倫(ビズキャンパス運営)

会社概要
会社名:株式会社チャレナジー
英称 :Challenergy Inc.
所在地:131-0041 東京都墨田区八広4-36-21 ガレージスミダ
代表者:清水敦史 様
設立 :2014年10月1日
資本金:4800万円(資本準備金含まず)


|ここからがインタビューです

(漆原)
どのような事業をされているのか教えてください。

(清水社長)
私たちは風力発電機を開発しているベンチャー企業です。従来のプロペラ風車ではなく、台風の中でも発電できる世界初の風力発電機を作ろうとしています。


(大村)
従来のプロペラ風車との違いは何でしょうか。特徴を教えてください。

(清水社長)
プロペラ風車による風力発電は、およそ130年前にヨーロッパで誕生しました。ヨーロッパは風に恵まれていて、プロペラ風車が適した場所が多いんです。しかし、日本の風は向きや強さの変動が激しく、さらに台風も発生する環境なので、プロペラ風車にとっては過酷な環境です。

そもそもプロペラ風車にはいくつか課題があります。
まず、風の向きにプロペラの向きを合わせる必要があります。プロペラに向かって横風が吹いた場合は発電できないばかりか、故障の原因になることがあります。また、強風時にはプロペラが回転しすぎて故障することもあります。そのため、風速25メートル以上の風が吹くと風車を止めざるを得ないんです。横風もダメ、強風もダメとなると、ちょくちょく風車を止めなければならないので、場所によっては思ったほど発電できないこともあります。

2番目に設置場所の課題もあります。
万一破損した場合の危険性や、騒音が問題になることがあり、人が生活している地域には簡単には設置しにくいのです。
それなら、「自然豊かな広大な土地に置けばいいじゃないか、北海道など風の豊かなところを選べばいいのでは?」と思うかもしれませんが、そのような場所では鳥がプロペラに衝突してしまう「バードストライク」が発生することがあります。風の環境が良く広大なロケーションでも、渡り鳥や貴重な鳥が生息していると設置が難しいんです。

そこで、僕たちは、風の向きや強さの変動に影響されず、騒音やバードストライクも起こりにくい、日本に適した風力発電を作ろうとしています。
まず、僕たちの風力発電機は、プロペラのない風車です。従来のプロペラの代わりに円筒を付け、風の中で円筒を自転させたときに発生する「マグナス力」を利用することで風車全体を回し、発電する仕組みになっています。
野球や卓球、テニスをしたことがあるとわかると思いますが、ボールに回転をかけると曲がるのも、同じ原理なんです。
マグナス力は、円筒をゆっくり回すと小さく、速く回すと大きくなります。そこで、風が弱いときには円筒を速く回し、風が強いときにはゆっくり回すような制御をすることで、通常の風はもちろん、強風時も暴走することなく稼働できます。
また、円筒の回転を止めてしまえばただの棒になり、マグナス力は0になりますから、仮に何か問題が生じても、風車を確実に止めることができます。
この仕組みにより、風の強さの変動に適応できます。

次に、垂直軸型の風車なので、阿修羅像のようにどこから見ても正面となりますから、風の向きに合わせる必要がなく、風の向きの変動に適応できます。

量産時にはプロペラよりも低コストにできる部分もあります。
この円筒は何で作られていると思いますか?

(大村)
鉄・・・ですか?

(清水社長)
実はFRP(繊維強化樹脂)なんです!円筒は頑丈な上に、シンプルなので安く作れるんです。
プロペラは薄い板形状のため折れやすく、また断面形状が複雑なので、製造コストが高くなります。そのため、プロペラが壊れると修理ができないケースもあります。その点、円筒は壊れにくく、万一壊れたとしても簡単に交換できます。

(大村)
耐用年数はどれくらいですか?

(清水社長)
目標は20年です。10年くらいで交換が必要な部品も出てきますが、低コストで部品交換やメンテナンスができる風車になるよう設計を進めています。

(大村)
コストも魅力的で、何よりどんな風でも大丈夫ということは色々な場所に設置ができますよね!

(清水社長)
そういうことなんです!よく誤解されるのですが、台風専用の風力発電を作っているのではなく、どのような環境でも、台風が来ても発電可能な風力発電ということで“台風発電”と呼んでいます。

(漆原)
起業したきっかけを教えてください。

(清水社長)
2011年に起きた福島原発の事故です。それまでは全く風力発電と関係のない会社で働いていて、起業するなんて考えていませんでした。原発事故が起きた時、僕は大阪にいたので、直接被害にあったというわけではないのですが、日本人として、二度とこのような事故が起きないよう、原発から脱却する努力が必要だと思いました。
原発事故の後始末は僕らの世代だけでは終わらせることができません。だからこそ、次の世代に、再生可能エネルギーの道も作っていかなければならないと感じたのです。
とはいえ、再生可能エネルギーに関しては素人ですから、まずは再生可能エネルギーの本を買って勉強することからスタートしました。



(清水社長の小学校の卒業文集を途中、拝読させて頂きました。)

(大村)
他にも再生可能エネルギーがある中で、なぜ風力発電に注目したのですか。

(清水社長)
風力発電に一番可能性があると感じたからです。
風力発電は世界で500GW近い設備容量がありますが、日本はそのうち3GWほどしかありません。ものづくり大国の日本が風力発電機においては存在感があまりないんです。
しかし、実は日本には風力発電大国になれる可能性があります。
環境省の試算によると、日本の風力発電のポテンシャルはなんと、1900GW近くもあるそうです。つまり、日本は風力発電大国になれる可能性を持ちながら、生かせていないという側面があるのです。

一方、風力発電機の発明は飛行機よりも古く、およそ130年の歴史があるのですが、実は基本的な仕組みや形はほとんど変わっていないんです。もちろん、技術の発展に伴って進化はしているのですが、進化の方向が主として「大型化」だったのです。しかも、現在でも台風のような過酷な環境に弱い部分は完全に克服できておらず、日本に持って来ると故障しやすい。まるで恐竜みたいだな、と思ったんですね。
そこで、風力発電をこれまでとは違う方面、つまり日本の環境に適応する方向に進化させれば、日本を風力発電大国にでき、さらに日本と同じような島国を中心に、莫大な潜在需要があるのではないかと思い、風力発電を選びました。


(漆原)
大手企業を辞めることにためらいはなかったのですか。

(清水社長)
もちろんありましたよ。日本の環境に適応できる、マグナス力を使った風力発電の特許アイデアを考えたのが2011年4月のこと。独立を決心したのは2年後の2013年でした。この期間が物語っていますよね。(笑)
実は、独立する条件として2つ決めていました。1つはプロトタイプが実際に動くこと。もう1つは、特許が取れること。この2つを達成できたらこのアイデアに賭けようと思っていました。
2011年は特許を書いたり、事業構想を練り、2012年のGWに自宅マンションでプロトタイプを作って動かすことに成功しました。
そして、2013年の春に特許を取得できたことで独立を決心しました。

(大村)
特許の書類作成やプロトタイプ作りは会社に勤めながら進めていたんですよね?

(清水社長)
はい。だから大変でしたよ。帰宅後と休日で少しずつ進めていました。プロトタイプは2012年のGWに集中して作りました。ペットボトルとか発砲スチロールの円柱とか色々なものをひたすら回していました。(笑)

(大村)
プロトタイプが回った瞬間はどのような気持ちでしたか。

(清水社長)
かなり嬉しかったですよ!その瞬間は「このために生まれたに違いない」と舞い上がったことを覚えています。

そこからはタイミングに恵まれました。2013年の夏に東京に出てきてチャンスを伺っていたところ、2014年にものづくり限定のビジコン、テックプラングランプリが初めて開催されたんです。普通、ビジコンと言えばIT系のイメーシが強いじゃないですか。でも、ものづくり限定のビジコンが初めて開催されたんですよ!しかもそこで優勝できたんです!みんな会社やチームで参加する中、僕はまだ会社もなく個人名で参加したんですけど、一人でやっている強い思いなどが届いたのかなと思います。評価されたことは嬉しかったですね。
この時審査員を務めていた浜野製作所の浜野社長に、「ベンチャーの支援施設を今度作るからそこに入居しない?」と誘って頂き、ガレージスミダに入居して一緒にものづくりをすることになりました。ガレージスミダが今の本社なんですけれど、ここをきっかけに墨田区をものづくりのシリコンバレーにするというのが僕らの野望です。(笑)

(漆原)
起業してから今までで大変だったことは何ですか。

(清水社長)
ビジコンに優勝し、会社を立ち上げる準備中に、NEDOという国の機関のスタートアップイノベーターという起業家支援が始まり、採択されたことで開発資金も得ることができました。
早速、開発資金でコンピューターシミュレーションをしてみました。そうしたら発電効率がめちゃくちゃ悪かったんですよ。従来の風力発電の効率が40パーセントなのに対し、僕らのは1%以下。この結果はかなり落ち込みましたね。この効率を上げていくのが辛かったですね。

そこから発電効率をアップさせる闘いが始まりました。いろんなタイプの円柱を作って実験をし続けました。普通なら諦めるところだけど、自分で会社を作った以上、後に引けないから必死で、背水の陣で臨みました。
そうしたら、3ヶ月目に奇跡が起きたんですよ!効率が30%までアップしたんです!
実験中に風の気持ちになろうと思い(笑)、風の流れを意識したところひらめきました。この発見は今新たに特許に出しているところです。地獄の期間を乗り越えた瞬間でした。

その後は“風洞”と呼ばれる施設で実験しました。そこで風速20mまで実験することができました。


(大村)
昨年の夏に沖縄で実証実験をしたということですが、結果はどうでしたか。

(清水社長)
風洞での風速20mをクリアした後、次は本物の台風の中で実験しようと、昨年の夏に沖縄に試作機を1台置きました。
昨年の夏は異常気象で、台風は沖縄ではなく北海道、東北地方を襲いました。
沖縄に台風が接近したのが2回なのですが、その2回で“台風の中でも発電できる”ことと、“台風の中でも発電をストップできる”ことを確認できました。
まだまだ発電効率の改良の余地があるし、たくさんのデータも取る必要があります。なので今年も実験を続けるつもりです。


(漆原)
今後の展望をお聞かせください。

(清水社長)
目標は大きく2つあります。
一つ目に、世界中に電力を提供したいと思っています。
実は世界の20%くらいの人たちは電気を十分に使用できないと言われています。また、例えば日本と同じ島国のフィリピンは送電網が十分にないため、ディーゼル発電を使用しています。そのため電気代が高く、実質電気を十分に使用できないところもあります。
風力発電には、このような課題を解決する可能性があると思います。従来のプロペラ風車は現在MWクラスまで大型化が進んでおり、これに私たちが追従するためにはまだまだ技術革新が必要ですが、決して夢ではありません。2020年までにまずは10kWの発電容量のタイプを量産化していくつもりです。そして海外との取引も進めていきたいです。
今年の2月にサンフランシスコで行われたクリーンテックオープンで優勝したこともあり、世界でも認知されるようになってきました。日本と同じようにプロペラ風車の設置が難しいハワイ、グアム、ニュージーランドといった島に住む人々からの問い合わせも増えてきています。僕たちはこれを“南の島作戦”と呼んでいるのですが。(笑)
そうやって世界中に提供していきたいです。

二つ目は、水素社会を実現すること。
最近水素エネルギーの活用が世界から注目され始めているんです。水素は地球温暖化の原因となるCO2を排出しないこと、無尽蔵に存在することを理由に“究極のエコエネルギー”と呼ばれています。
水素の作り方は二つあり、一つは天然ガス、バイオマス、汚泥などから取り出す方法。現在はこの方法が用いられることが多く、特に天然ガス(石油)から水素を作っています。低コストで短時間に大量の水素を作ることが可能ですが、化石燃料は枯渇していく燃料であると同時に、製造過程においてCO2を排出します。結果、エコとは言えませんよね。
もう一つは“電気分解”。中学で習いましたよね?(笑)ただ、この方法は大量の電気が必要でコストが掛かります。
自然エネルギー(太陽光、風力、水力など)による電力で水を電気分解し、そこで生まれた水素を使って車を走らせたり、家庭に供給するのが理想的です。僕たちの風車が台風の中でも洋上でも、どんな場所でも発電できるようになれば、水素も作れると思うんです。

日本は石油の埋蔵量が少ないので資源を輸入してきましたが、広大な海があります。再生可能エネルギーで海水から水素を生み出すことができるようになれば、水素輸出国にだってなれるはずです。
まだまだ課題はあるけれど、長い目で見たら水素社会の実現の可能性は十分にあります。だって50年前は、ほとんどの家庭に電話がなかったけれど、今では一人一台スマホの時代ですよね。そう考えるとこれから50年先の未来もどう発展するかわからない。だから水素社会が実現されているかもしれないですよ!
僕たちの台風発電で水素を生み出し、日本を資源大国にしたいと思っています。


(漆原)
学生にメッセージをお願いします!

(清水社長)
僕自身、チャレナジーを立ち上げてから「七転び八起き」の精神で突き進んで来たけれども、実際には七転八倒の連続でした。それでも諦めなかった結果、ここまで来ることができ、新しい目標に立ち向かっています。今は「七転八倒九起十駕」という信念を持って動いています。
転んでも倒れても、また起き上がって努力をし続ければ、いずれは努力が実を結ぶと思っています。みなさん、頑張ってください!


(清水社長と学生キャスターの漆原怜奈さん)
|インタビューはここまでです

生き生きとお話されていた清水社長はとても素敵でした。お忙しい中、ありがとうございました!


インタビューの感想
(漆原)台風の被害が毎年起こる日本で「台風をエネルギーに変える」といった発想に衝撃を受けました。自然の猛威が私たちの生活を豊かにしてくれる可能性があることに不思議な気持ちになったからです。
また、私が想像していた従来の風力発電機とは全く異なるデザインでした。「プロペラがない!そして、かっこいい!」といった印象を受けました。プロペラがないことでどんな風が起きても壊れることがなく様々なエリアに設置が可能なのです。環境にも優しく、これからの発電の仕方に革命を起こしてくれそうな台風発電の実用化が待ち遠しいです。

(大村)パリ協定が発効され、今後は国際的にCO2排出ゼロを目指していく必要があります。そして持続可能なエネルギーが見直されている中で、チャレナジーさんの”台風発電”は希望に満ち溢れたエネルギーだなと思いました。どのようなエリアでも発電できるようになれば、CO2排出も大幅に削減できる可能性があるでしょう。
既に欧米では炭素税や排出量取引などを導入するなど、CO2削減へ向け力を入れていますが、日本はこれといった特別な策を練っているようには思えません。もし”台風発電”が量産化すれば、そのような日本の状況を打破できるかもしれません。世界中で”台風発電”が活躍してくれたらとても嬉しいです。

ライター

大村 倫
2012年度ミス昭和女子大学。大学卒業時に結婚し、夫と娘の3人暮らし。 現在は、学生時代にキャスターを務めていた学生向けメディアでライターとして活動中。
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