いつでも どれでも どこにいても|株式会社TRILL. 藤森研伍様 インタビュー

こんにちは!ビズキャンプラス運営の畠中です。

今回は、地方特化型カーシェアリングサービス「OURCAR(アワーカー)」を展開する、信州大学発スタートアップ、株式会社TRILL.代表取締役の藤森研伍様へのインタビューです。国土交通省との実証実験にも採択されるなど、地方の「交通空白」解消に挑む注目の企業です。
学生時代に自分の車を貸し出したことから始まったサービスのルーツ、既存のカーシェアとの違い、そして経営者としての壁や、就活中の学生へのメッセージまで、ざっくばらんにお話しいただきました。

「モビリティ」「シェアリングエコノミー」「地方創生」「起業」「就活」等に興味のある方、必見です!



会社概要


 会社名:株式会社TRILL.
  代表:藤森 研伍
  設立:2023年1月
 所在地:長野県長野市風間2034-17
事業内容:カーシェアリングサービス「OURCAR」の運営
  URL:株式会社TRILL.
     https://www.youtube.com/watch?v=Ll06p8vLHlE&authuser=2
     https://www.youtube.com/watch?v=RMiYGnMLqAo&authuser=2



インタビュー


(田村)
まず、事業内容について教えてください。

(藤森さん)
弊社は株式会社TRILL.といって、「OURCAR」というカーシェアリングの総合プラットフォームを運営しています。タイムズのようなカーシェアは会社が保有する車を貸し出す仕組みですが、私たちは「だれでも車を貸せる」プラットフォームです。車を持っている方が使っていない時間帯に貸し出すことで、その分の収入を得られる、というイメージですね。

(田村)
OURCARを立ち上げたきっかけは何だったのでしょうか。

(藤森さん)
まずは、長野県の大学に進学し、地元大阪との、移動環境の違いに不便さを感じていました。その頃、友人の東京進学と、祖父の免許返納のタイミングが重なって急に車を2台持つことになり、1台をどうしようかと考えたのが最初のきっかけでした。
最初はティッシュ箱に「1000円入れてね」と書いて、ハンドルに南京錠をかけ、予約が入るたびにメールで鍵の暗証番号を送っていました。初めて1000円が本当に入っていた時、嬉しかったですね。

海外に行った経験も大きくて、日本は疑うことが前提になりがちですが、海外では助け合うことが社会基盤としてあり、カーシェアを通じて「使ってもらえて感謝された」という体験が積み重なれば、もっと人を信じられる社会につながる。そんな世界観を作る一助になりたいとも思っています。

(田村)
システム開発において大切にしている考え方はありますか。

(藤森さん)
UI/UXの使いやすさはもちろん考えますが、それ以上に大事なのは、参加してもらうことです。プラットフォームは人が参加しないと始まらないので、貸しても大丈夫だと思える信頼感をどう作るかが重要だと考えています。
パタゴニアが良い例だと思っていて、同じ機能の服でも、あのブランドが目指す世界観に共感して選ぶ人がいますよね。私たちも、ただサービスを説明するだけでなく、目指す世界観をナラティブとして伝え、一緒に作っていく雰囲気を大切にしたいと思っています。

(田村)
他社のカーシェアサービスとの違いは何でしょうか。

(藤森さん)
一番の違いは「誰が車を持っているか」です。タイムズのようなサービスは会社自体が車を保有していて、1台の維持費だけで月12万円以上かかるとも言われています。だから利用が見込める都市部にしか展開できず、人口が少ないエリアにはカーシェアがないという空白が生まれがちです。私たちはすでにある車を活用する仕組みなので、展開できるエリアの範囲が全く違いますし、車種も限定されないので冷凍冷蔵車やキッチンカーが出されることもあります。
マイカーは貸せないというのが一般的な常識なのですが、私たちは国交省との実証実験の中で「共同使用契約」という仕組みを活用しています。車の購入額や年間維持費の範囲内であればオーナーが対価を得られる仕組みで、上限があるからこそ利用者側の料金も抑えられます。結果、料金も安くなります。

また、どんな人でも参画しやすい理由として、車に取り付ける鍵の受け渡しシステム「キーボックス」を採用しています。通常なら1台あたり10〜20万円くらいかかるシステムを、最低限のものにすることで、オーナーさんの導入コストを無料にしています。

(田村)
学生時代から今に活きていることはありますか。

(藤森さん)
高校まで野球一筋、大学では野球とアメフトをしていましたが、怪我をして部活を離れ、その後は光回線の訪問販売の営業代理店を仲間と立ち上げてやっていました。飛び込み営業で怒られることも多くて、「ノー」と言われることへの耐性がついたのは今に活きていますね。

ただ、当時のサービスは「安くなりますよ」という価値提供にとどまっていて、心から意義を感じられていなかったんです。メンバーがどんどん辞めていく中で悩み考えたからこそ、今は自分が心から意義を感じられる事業だけをやろうと思えるようになりました。

(田村)
経営者として壁にぶつかった経験はありますか。

(藤森さん)
今もぶつかっていますが、最初のチーム作りですかね。今一緒にやっているエンジニアは、出会うまで5、6人入れ替わりました。最初はやろうと盛り上がっても、1ヶ月後には熱量が落ちている、ということもありましたし、お互いに確認待ちだと物事が全然進まない、という難しさも感じました。
事業環境の難しさもありますが、自分自身の意思決定が遅い、弱いと感じることも今の壁です。

(田村)
私も就職活動をしていますが、企業がどういう基準で採用しているのか気になります。

(藤森さん)
分かります。お祈りメールが来るたびに自信がなくなりますよね。でも例え不採用でも、その人自身の価値が下がるわけではないと僕は思っています。
実際に組織を作る側からすると、エンジニアとしては厳しいと感じる人が、営業や事務ではすごく頼りになることもよくあります。言葉を選ばずに言うと、適材適所という言葉の通り、会社が見ているのはその会社にとって効率よく生産性が高まりそうか、という都合の良さになると思います。だから、受かる・落ちるは相性の話であって、優劣の話ではないんですよね。

(田村)
なるほど。落ちる人に特徴があるとは限らないんですね。

(藤森さん)
受かりたい気持ちから取り繕っている雰囲気が伝わると、むしろ本当のところが見えないので、判断のしようがない。繕わずに素直でいてくれる方が、こちらも素直に合う・合わないを判断できます。それは対話を通してでないと伝わらない感覚でもありますね。

(田村)
エントリーシート等、文面ではどんなところを見ているのでしょうか。

(藤森さん)
その人がどんな環境で頑張れて、何にモチベーションを感じるか、逆に何がしんどいのかを見るようにしています。例えば「文化祭を頑張りました」という話一つにしても、「みんなでやる過程が楽しかったから」という人なら仲間を大事にするタイプだろうし、「文化祭を成功させて生徒会長になりたかったから」という人なら、権威や達成そのものを重視するタイプなんだろうな、と。そうやって、組織が大事にしているものとの相性を見ています。

(田村)
仕事をする上で大切にしている価値観はありますか。

(藤森さん)
やりきることと、考えることと行動することのバランスですね。

あとは、遠慮はしないけど配慮はする、ということ。例えば相手の調子が悪そうなら長時間拘束しないように気を配りつつ、それでも聞くべきことはしっかり聞く。遠慮がないのも素直かもしれませんが、配慮があることも一つの素直さだと思います。
結局愚直にやっていることが一番大事なんじゃないかなと思ってます。応援もしたくなるし、自分の強みも多分そこだなと。

(田村)
今後の展望を教えてください。

(藤森さん)
まずは「目の前の車がどれでも使える世界」を日本国内はもちろん海外でも作りたいですね。それが実現すると、「所有」の概念自体がアップデートされると思っています。

所有という感覚は、人間がもともと持っていたものではなく、経済活動の中で後から生まれたものなので、そもそも貸し借りじゃなくてシェアが当たり前になれば、もっとお互いを想像し、信じられる社会に近づける、誰かのおかげで自由になるみたいな世界ができるんじゃないかなと。
性善説で生きていける世界線になっていくといいなと思っています。

実は新しくやりたいこともあって、ウエディングとクラフトビールの事業をやりたいんです。
結婚式は一度きりで300万円ほどかけるものですが、本来大切なのは10年、20年と関係性が変わっていく中で、その都度大切な人と改めて向き合う機会だと思うんです。例えば300万を10年毎に予算と機会を分けて、僕らが作ったクラフトビール工場で開催するとか。
OURCARをやりきったと思えたら挑戦したいことですね。

(田村)
最後に、経営を目指す学生へアドバイスをお願いします。

(藤森さん)
「経営したい」と意気込むよりも、衝動や違和感に素直に動くことの方が大事だと思います。ちょっとでも面白いと思ったら、小さくてもまずやってみる。タバコの吸い殻が落ちているのが気になる。その違和感がビジネスの種になることもあります。経営をするというのは、そんなに大それたことではないと思うんです。
年齢を重ねると、これが当たり前だよねとか、こうしないとこうダメだよねとか、世間的な常識としてなんとなく横たわってるものがあります。そうしたもので感性が擦れていきがちなので、常にその感性を大事にしてほしいですね。



インタビューを終えて


(中村)
サービスの画期的さや便利さはもちろん、それ以上に「人とのつながり」という部分に魅力を感じたインタビューでした。日本人は知らない人とのやり取りに抵抗があると言われがちですが、逆に親切で丁寧な国民性だからこそ、この事業は日本にすごく向いているのではないかと感じました。就活生としても、経営者としての視点や体験談を伺えて、とても学びの多い時間でした。貴重なお話、ありがとうございました!

(田村)
インタビュー自体が初めての経験で緊張していましたが、本当に楽しい時間でした。このサービスが全国、そして世界に広がれば、誰もが自由に車を使える社会が実現するのだろうと感じました。就活についてのお話も伺えて、これからも頑張ろうと思えました。
藤森さん、貴重なお話をありがとうございました!


以上、株式会社TRILL. 代表取締役 藤森研伍様へのインタビューでした。次回もお楽しみに!

この記事は私達が担当しました

  

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