
こんにちは!ビズキャンプラス運営の畠中です。
今回は、沖縄産サトウキビの搾りカス「バガス」から糸を作り、エシカルデニム「SHIMA DENIM」を生み出すCurelabo株式会社 代表取締役の山本直人様へのインタビューです。
40歳で未経験の繊維業界に飛び込んだ経緯、捨てられるはずだった副産物が地域を巡り巡ってデニムになるまでのプロセス、そして進路に悩む学生へのメッセージまで、幅広くお話しいただきました。
「地域創生」や「サステナビリティ」、「アップサイクル」に興味のある方は必見です!
会社概要
会社名:Curelabo株式会社(Curelabo Co.,Ltd.)
代表者:山本 直人
設立:2021年3月10日
所在地:沖縄県浦添市港川2-14-7
事業内容:さとうきび等の未利用資源を活用した素材開発、製造及び販売
URL:https://curelabo.co.jp/
インタビュー
(是枝)
まず、事業の具体的な内容について教えてください。
(山本さん)

環境負荷の高い素材の代替となる素材づくりをしています。ただ作るだけでなく、各地域で捨てられている、あるいは有効活用されていない副産物を高付加価値化・アップサイクルして素材にすることで、その地域に経済効果を循環させるビジネスモデルを目指しています。
(是枝)
数あるサステナブル素材の中で、なぜサトウキビ、そしてデニムに注目されたのでしょうか。
(山本さん)
日本でサトウキビが栽培されているのは沖縄と奄美の2エリアのみで、輸入増加もあり沖縄の製糖業は最盛期の3分の1程度まで縮小しています。ただ、沖縄を訪れる人の多くは自然や海が目当てで、サトウキビ畑のような原風景はやはり残したい。そこで観光業以外の産業づくりとして、このプロジェクトを始めました。
サトウキビの搾りカス、「バガス」を紙のシートにし、テープ状にして撚りをかけて糸にする。その繊維でデニムを作りました。デニムを選んだのは、アパレル産業が石油産業に次ぐ環境汚染産業とも言われる中で、ジーンズは丈夫で長く履け、穴が空いてもリペアして使い続けられる、環境配慮を分かりやすく体現できるアイテムだからです。ジャパンデニムは世界的評価も高く、各地の高い技術と組み合わせられる点も理由になりました。
(是枝)
始めた当初に苦労したことや、実際の反響や客層について教えてください。
(山本さん)
ものづくりは大量生産が前提なので、小ロットに対応してくれる工場を見つけることに苦労しましたね。様々な方のご協力があって形になりました。
反響としては、沖縄県民に親しみ深いサトウキビを使っていることを喜んでもらえたり、農家さんには普段捨てたり燃やしたりしているバガスの活用を喜んでいただけました。
実は、サトウキビは世界で最も生産量の多い農作物で、インバウンドで訪れる方々にも馴染み深い作物なので、購入につながるケースも多いですね。
(是枝)
仕事をしていて、やりがいを感じる瞬間はどんな時ですか。
(山本さん)
私たちの目的はアパレルブランドを作ることではなく、この取り組みを通じて紙を作る会社、糸を作る会社、生地を織る会社、縫製する会社など、普段は最終的な用途を知らないまま作業している工場さん同士がつながっていくことです。
私たちの理念に共感してもらいながら、サプライチェーン全体で取り組めている実感が、一番のやりがいですね。
(是枝)
学生時代の経験で今の事業に繋がっていることはありますか?
(山本さん)
当時は課外活動とかはあまりなかったですが、物事を考える力や、目的を達成するまでの道筋の組み立て方は、何をやっていても役立っていると感じます。
大学では歴史を専攻していましたが、真面目な勉強だけでなく雑学も含めて色々な情報をインプットすること、そしてそれを何かに活かそうとトライすることが大切だと思いますね。
(是枝)

大学卒業後は広告代理店に入社されたとのことですが、その理由を教えてください。
(山本さん)
出版やメディアへの興味と、あえて苦手だった営業に挑戦してみたい、という思いからでした。結果論ですが、若いうちの挑戦は自分の人生にとって絶対プラスになると思っています。
(是枝)
独立を決意したきっかけは何だったのでしょうか。
(山本さん)
会社組織の中では、自分がやりたいことを100%実現するのはやはり難しい。だったら自分でやるしかない、という結論に至りました。
40歳、いわば2回目の成人のタイミングで、そろそろ自分の責任で何かをやってもいいかなと思い、事業を始めました。
(是枝)
広告代理店時代に、サステナブル素材へ興味を持ったきっかけはありましたか。
(山本さん)
観光系の広告代理店で、沖縄との関わりが長くありました。実は繊維の勉強はしていなくて、全部逆算で辿り着いたんです。
「沖縄を創生するために、サトウキビ産業で何かできないか」→「サトウキビ産業の課題は搾りカスのバガス」→「バガスの88%は食物繊維=セルロース」→「セルロースなら紙が作れる」→「日本には和紙文化があり、紙の糸が存在する」というふうに掘り下げていって、今の形にたどり着きました。
(是枝)
起業後、最も大変だったことは何でしょうか。
(山本さん)
まだ乗り越えられていないのですが、いわゆる「サーキュラーエコノミー」、環境配慮とビジネスの両立です。
3千円のジーンズと3万円のジーンズがあれば、大半の消費者は安い方を選びます。でも3千円のものを10年間毎年買い替えれば、結局3万円と同じ金額を払っていることになる。そういう価値観を持つ人がまだ少なく、環境価値を付加したものを選ぶ消費者が少ないというところが、ビジネスとして今も課題です。
(是枝)
環境問題について、私たち一人ひとりができることは何だと思いますか。
(山本さん)

目の前のものがどう作られているか、そういうことを考える習慣を持つことだと思います。
例えば、「農家さんに感謝を持ってご飯粒一つ残すな」とか、当たり前で、大事な価値観ですが、そういうところが薄れているような気もするんです。
「ありがとう」の反対語は「当たり前」なんですよね。当たり前のことを当たり前に大切にする、ゴミが落ちていたら拾う、自分が出したゴミは持ち帰る。取り組みの前に、まず考え方ですね。
そういう感覚は、実は大人になるほど失われがちです。皆さんぐらいの年代が、まさにその感覚を育てる大事な時期だと思います。もう一歩踏み込んで考えてみると、自分にとっても気づきだとか、いろんなリターンがあるんじゃないかと思います。
(是枝)
今後の事業の展望を教えてください。
(山本さん)
沖縄は観光業に人・モノ・金が集中し過ぎて、一次産業などが縮小し、「自然との共生」という沖縄らしさが薄れつつあります。
私たちはこの事業を通じて「沖縄らしい沖縄」であり続けるための地域創生に貢献したい。そして沖縄で作ったこのビジネスモデルを、首都圏一極集中に悩む日本各地の地域創生にも展開していきたいと考えています。
現在は日本各地、21エリア30種類ほどの廃棄物をアップサイクルの対象にしていて、本当に「捨てるしかない」「困っている」ものに限ってアップサイクルすることにこだわっています。
(是枝)
最後に、進路に悩む学生へメッセージをお願いします。
(山本さん)
悩んで答えが出るなら悩めばいい。でも悩んでも仕方ないと思うなら、まず行動することです。何をやっても真剣にやれば必ず自分の人生に返ってきますが、真剣にやれなければ時間の無駄になるだけなので、どの選択肢でも間違いはないと思います。
私自身、40歳から繊維の世界に飛び込みましたが、それまで繊維もアパレルも勉強したことは一切ありませんでした。ちょっとでも良いなと思ったら、やってみればいい。違ったら別のことをやればいい。大事なのは、とことん真剣にやることです。
もう一つ、私たちの世代は「三方良し」―売り手良し、買い手良し、世間良し―という考え方を大事にしてきました。でもこれからの時代は、そこに「未来」を加えた「四方良し」という視点が欠かせないと思っています。サステナブルな感覚は、年配の世代よりも皆さんのような若い世代の方がずっと持ち合わせているはず。
ビジネスという枠を超えて、何かに気づくきっかけにしてもらえたら嬉しいですね。
インタビューを終えて
(畠中)
最後のメッセージには痺れました。考えすぎて煮詰まった時こそシンプルに行動する、というのは効果的だと思う一方で、実践するのはまた別の難しさがあるなと、改めて胸に刻みたいと思いました。
また、サプライチェーン全体が同じ理念を共有しているというお話もとても素敵だと感じました。ものづくりに関わる人が最終製品を知らないまま作業しているケースが多い中で、理念に共感した仲間たちが同じ方向を向いて価値を作れるのは、ベターな状態なのではないかと思います。
(是枝)
本当に有意義な時間でした。環境問題についてお伺いするつもりが、それ以上に沖縄の産業やアパレル業界の課題まで知ることができ、視野が大きく広がりました。「当たり前を当たり前にすること」「まず考えること」というお話も強く心に残りましたし、一人ひとりが大きなムーブを起こすんじゃなくて、目の前のちっちゃいことから、でもこれ何なんだろうって考えることが、いつか大きなことにつながるのかな、というふうにも思いました。
就活で色々な業界を見ている身として、やるからには真剣に、という言葉を大切にしたいと思います。
山本さん、貴重なお話をありがとうございました!
以上、株式会社Rinnovation 代表取締役 山本直人様へのインタビューでした。次回もお楽しみに!
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