株式会社YAZ 田中社長 経営者インタビュー

第十一回「ベンチャー企業に、聞いてみよう!」では、Webシステムの開発・構築やITソリューションに携わる、株式会社YAZの田中康之社長にインタビューをさせて頂きました。

キャスター  小川真央さん(慶應義塾大学)  三谷咲都美さん(慶應義塾大学)
運営学生 横井さん(早稲田大学) 有地さん(早稲田大学)

概要

株式会社YAZ様( 2015年9月現在のホームページ掲載より )

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代表者  :田中 康之 様
資本金  :30,000,000円
設立  :2004年06月16日
事業内容  :ITソリューション事業,Webサービス事業
所在地  :〒150-0002 東京都渋谷区渋谷2-7-5 URD渋谷第2ビル 4階

株式会社YAZさんの新卒採用情報は、こちら(2022年3月)

最初に、ペッパーくんと対面にて〜 (一同) 顔が動きますね。

(田中社長) 人を認識して、見つめたり喋ったりしますよ。ペッパー!

(pepper) はい!おはようございます!今日は曇りのち雨。僕はもうすっかりどんよりした気分になっています。

(田中社長) 今日は雨が降るの?

(pepper) (うなずき)

(田中社長) このように、一メートル半以内程の人を認識し、話しかけます。

(pepper) 田中社長!田中社長みーっけ!

(田中社長) 顔認識が働いていますね。 アプリで手相認識に挑戦!

(田中社長) こんな感じで、ロボットのビジネスは始まったばかりです。ペッパー自体は国内にまだ500台程度しかなく、家庭にあってもこのような状態なので、人格は多少感じますが人間的なコミュニケーションはまだまだこれからですね。

〜インタビュースタート〜

Q.1
(小川さん) 様々なビジネスがある中で、今のビジネスを選ばれたきっかけはありますか?

A.1
(田中社長) 私が企業を考えたのは高校生の時、今から20年程前です。その時から、ビジネスとしてIT・コンピュータシステムがこれから伸びると思っていました。つまり、成長産業であるという点からこの産業を選びました。20年前・皆さんが生まれたころのパソコンは、今でいうロボットの様に、これってなんなの?仕事にどう使うの?という感覚のものでした。それが今や当たり前に存在するものになっている。時代とともに感覚、技術が変わっていくところが成長産業が面白いと感じた理由です。

Q.2
(小川さん) ベンチャー企業で「働く」ということは、大手と何が違うと考えていらっしゃいますか。

A.2
(田中社長) 一番違うのは、「成長」と「責任」です。大手企業では人数が多いため、決まったキャリアプランに乗っていくことになります。しかしベンチャー志向の人からすると、それでは物足りず、これでいいのかという疑問が出てきます。もっと責任を負いたいと感じるのです。良い意味で、苦労をせずに一定の「成長」「責任」を身に着けられるのが大手です。苦労が好きな人はベンチャー向きと言えるかもしれません。

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Q.3
(三谷さん)ベンチャー企業で働くうえで、一番大切なものは何ですか?

A.3
(田中社長)一番大事なものは「マインド」だと思います。皆さんは今、日本で知名度のある大学に通っていますね。例えば、今皆さんにアメリカで学びたいことがあったとする。その時、あなたは知名度を捨て、アメリカの大学に行けますか?ということです。

同じような状況が、就活でもあると思います。名刺に、誰もが知っている大手企業の方が、安心感もあるし安定感もある。ベンチャー企業には、それがありません。すると、働く上での「マインド」、つまり、自分がこれをしたいという「想い」がないとやっていけないのです。知名度がない状況で、自分の能力だけで進んで行くための姿勢が必要とされます。

Q.4
(三谷さん)これまでの成功の秘訣はありましたか?

A.4
(田中社長) 成功かというと、成功とは思っていない部分の方が多いです。きっと上場企業の創業者の方もそう思っていることが多いと思います。例を挙げると、ユニクロの柳井さんやソフトバンクの孫さんは、皆さんご存知ですよね。彼らはもう、お金も名誉も、十分手に入れていると言ってもよりでしょう。

では何故、なおその先を目指し働き続けているのか。それは、夢を追い続ける志があったり、事業での大成が自分のミッションだと信じているからだと思います。社会で大切だと思われていることを実現したいという思いを持つ人は、現状を成功とせず、永続的に挑戦をし続けられるのではないかと思います。

Q4-2
(小川さん) それでは、一定の成果が出せた出来事はありましたか?

A.4-2
(田中社長) 全メンバーでイベントや懇親会をすると、メンバーが増えたなと 笑。彼らが楽しそうにしているのを見ていると、その場を作った達成感があります。全ての会社は、誰かが作ろうと思わないと生まれません。最初は何もないところから始めて、必要とされる雇用を生み、お客様に価値を与えている。そういったプロセスを振り返ると、自分の成長を実感出来ます。

Q4-3
(横井さん) やはり、社員の方との交流は大切にされているのですか。

A.4-3
(田中社長) そうですね。社員が50人程いると、全ての人と一緒に仕事はできないので、会社で懇親会をしたりします。他には、ボルダリングや車のカートに行きました。今日はバッティングセンターに行くイベントがあります。体を動かし、普段とは違うシチュエーションでのコミュニケーションを大切にしています。

Q.5
(小川さん) こちらにはどのような社員さんが多いですか?また、向いていると思われますか?

A.5
(田中社長) 「技術が好き」、「人と繋がるのが好き」というエンジニアが多いです。社員が自分でアンテナを立てないと、会社の新しいテクノロジーが増えないので、その点は重視しています。 性格面では、「勉強好き、素直、プラス思考」というのがキーワードです。これは、船井総研というシンクタンクの創業者の言葉です。素直に吸収し前向きな人は、成長が期待できます。

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Q.6
(三谷さん) 女性に採用について意識されている点はありますか?

A.6
(田中社長) 皆さんは、どのような会社が女性にとって働きやすいと思いますか? (—福利厚生が充実していて、女性の割合が多い会社だと思います)

(田中社長) その条件だと、残念ながらうちは働きにくい会社になってしまいます。笑。うちは女性エンジニアが2割で、やはりエンジニアは男性が多い業界です。それに、ベンチャーの福利厚生はあってないようなものだから。しかしながら弊社では、出世したい人、ワークライフバランスを重視する人・・・様々な形を受け入れていける会社になりたいと思っています。

働く上で条件があったとしても、「マインド」を持った素直でプラス思考な人ならば、それは良い人材なのではないかと。 就活で福利厚生にプライオリティを置く方は、大手企業の方が良いでしょう。 ただし、女性が自分でフリーランスを目指す場合は、また違った答えになります。20代のうちにベンチャーで苦労してスキルを身に着け、独り立ちが出来れば、自分で仕事を選べます。そうすれば、働く時間も自分で決められますしね。そういった方は、ベンチャーがお勧めです。

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Q.7
(小川さん) 田中社長にとって、働くとはどういった意味を持ちますか?

A.7
(田中社長) 「生きていた証」ですね。うちの会社は「300年企業」にしたいと思っているんです。みなさん、300年企業ってどこか知っていますか? 三菱の創業者は誰でしょう?(—弥太郎さんです)はい、岩崎弥太郎です。彼は坂本竜馬と同時代の人です。明治維新、つまり150年くらいの企業なんですね。300年企業というと、一番わかりやすいのはイオンですね。

他にも、お醤油、お酒、旅館、宮大工は古くからの歴史があります。日本には300年企業が500社くらいあるといわれています。世界の中でも、とても多いんです。そのように会社を永続させ、生きている証を残したいですね。

Q.8
(横井さん)学生のうちにやっておいたほうがいいことはありますか?

A.8
(田中社長)見識は広げた方がいいですよ。たくさんアルバイトをしたり、海外に行ったりだとか。うちで内定を出した2016卒の学生には海外に行けって言っていますね。社会人になってからでも行けますけど、今のうちに見識を広めといたほうが社会人になって仕事をするようになってから必要な引き出しも増えるだろうから。

(横井さん)田中社長ご自身も学生の頃は、海外に行かれたのですか?

(田中社長)そうですね。私も学生の頃バックパッカーで行きました。大学の3回生の夏にシンガポール行きの片道切符を買って、そのままシンガポール、マレーシア、タイ、ラオス、ベトナム、中国に大体1か月半くらい行きましたね。行って良かった点は、やはり仕事をする上でも海外の人とのつながりもあるので、海外はどんな文化があるのか、海外の方はどんな人柄なのかというのを知れること。知っているか、否かは仕事をするうえで大きな違いなので。

Q.9
(三上さん)プライベートな質問になるのですが、休みの日はどのように過ごされていますか?

A.9
(田中社長)仕事をしていることが多いんですけど、それ以外だと、車の運転が好きなので長距離ドライブをしてみたりだとか、あとはアウトドアなことですね。キャンプやバーベキューと、ウインタースポーツは頑張って年間3,4回くらいやってますね。

(小川さん)社員の方とも、どこかに行かれたりすることはあるのですか?

(田中社長)バーベキューは10年ぐらい前からやってますね。あとは、車のカート、ボルダリング、ボーリング、バッティングセンターなど、体を動かしながらコミュニケーションをとったりしています。

Q.10
(横井さん)社名の由来はなんでしょうか?

A.10
(田中社長)これは私のニックネームですね。康之だと長いのでヤスを濁らせてYAZ(ヤジュ)と小学生の頃に呼ばれてました。教育実習に行ったときにもニックネームで呼び合うコミュニケーションを久々にして、改めて自分の原点だなと感じて、これを使ってビジネスしたいなと思ったのがきっかけです。

そういう個性が出るようなクリエイティブな環境にしたくてうちの社名を私のニックネームにしたんです。それとIT企業として、アルファベット三文字のドメインが取れる会社にしたという理由もありますね。

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Q.11
(横井さん)今後のIT産業で広げていきたい事業はどういったものでしょうか?

A.11
(田中社長)IoTってみんな知ってますか?インターネットオブシンクスの略なんだけど、色んなものがネットにつながる時代に今なってきていて、例えば、最近だとデジタルカメラなんかもメモリーカードに保存した写真を、パソコンに移し替えるなんてことせずに、Wi-Fi経由でパソコンにアップロードできるようになってたりだとか。

そんな風に、インターネットにつながるものが今後もっと増えてきて、将来的には、家具とか身の回りのバック、文房具なんかにもつながるようになるだろうし、そこでできるサービズももっと増えてくると思う。そういう方面をビジネスとして広げていけたらなと思っています。

Q.12
(小川さん) 今まで仕事をしていて、最も印象深かったものは?

A.12
(田中社長)初受注ですね。みなさんも社会人になってからの1年目は鮮明に覚えていると思います。2年目、3年目って同じことの繰り返しになってくると印象が薄くなるんですけど、1年目の初めての仕事は、新しいことなので記憶に残りやすいですね。

それで私の場合は、仕事を辞めたばかりで売り上げもない自分に経営コンサル会社からホームページの仕事を受注したことですね。その会社は今でも保守しててもう13年の付き合いになります。

Q.13
(小川さん)HPに「自分らしく輝ける」とありましたが、田中社長の考える自分らしさとはなんですか?また、その自分らしさを見つけるには?

A.13
(田中社長)まず、自身のあるがままの姿を認め、受け入れることから始まると思います。認めたうえで、自分のなりたい姿に向けて継続的に成長していく。具体的には、自身のコンプレックスがあることを受け入れ、なりたい姿に向かってその差を理解し、成長することが大切。

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編集後記

(小川さん)
「300年企業にしたい。」田中社長のこの言葉から、芯の強い印象を受けました。会社を経営するという夢をかなえた今でもさらに目標を掲げ、上を目指そうとする向上心には大変驚かされます。今回のインタビューを通じて、このような姿勢が人々を惹きつけ、信頼関係を築いているのだと感じ、勉強になりました。田中社長、貴重なお話ありがとうございました。

(三谷さん)
Pepperくんのお出迎えに始まり、終始和やかな雰囲気の中でのインタビューとなりました。株式会社YAZ、こちらの印象的な会社名の由来は、今回インタビューさせて頂いた田中康之社長のニックネームだとか。田中社長は私たち学生に対しても、とても気さくに接してくださり、その溌剌とした表情や言葉からは確固としたリーダーシップを感じさせられました。特に私の中で印象的だったのは、ベンチャー企業の特徴として挙げられていた「若いうちから大きな責任や苦労を伴う仕事を任せられること」です。大手企業に入社し、与えられた環境を甘受するのではなく、さらに上を目指して、自ら挑戦し、努力し続け、ベンチャー企業の経営者になるというミッションを達成された田中社長。会社では、若い人材にも多くのチャンスや責任をどんどん与え、その中での苦労や葛藤を通して、一人一人が輝けるような職場づくりをされていらっしゃいます。私も、今は学生で、未熟な部分ばかりですが、失敗を恐れずさまざまなことに対して挑戦し続け、積極的に苦労を買って出てみよう、そこからきっと自分の将来に繋がる大きなきっかけが得られるのではないか。そう思うことができるインタビューとなりました。田中社長、今回はこのような貴重なお話をして頂き、本当にありがとうございました。

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