株式会社ユーグレナ 出雲社長 インタビュー ミドリムシで世界を救う?

第5回 「ベンチャー経営者に、聞いてみよう!」では、ミトリムシを一躍話題にした株式会社ユーグレナの出雲社長にインタビューをさせて頂きました!

キャスター 久能木さん 慶応義塾大学3年生 堀込さん 成蹊大学2年生 (2014年1月現在)

企業概要(2014年1月現在)

株式会社ユーグレナ様 

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代表者 : 代表取締役社長 出雲充
資本金 : 41億8,821万7,000円
設立  : 2005年8月9日
事業内容:
1.ユーグレナ等の微細藻類の研究開発、生産
2.ユーグレナ等の微細藻類の食品、化粧品の製造、販売
3.ユーグレナ等の微細藻類のバイオ燃料技術開発、環境関連技術開発
4.バイオテクノロジー関連ビジネスの事業開発、投資等
事務所 :
本社
〒113-0033 東京都文京区本郷7-3-1 東京大学本郷キャンパス内 東京大学アントレプレナープラザ 7階

飯田橋オフィス
〒112-0004 東京都文京区後楽2-6-1 飯田橋ファーストタワー31F

株式会社ユーグレナ様は、「ミドリムシ」を深く探求し可能性を見いだしたバイオベンチャーで、機能性食品、化粧品などの開発、さらにはバイオ燃料化、飼料化にもチャレンジしています。出雲社長のまっすぐなお考えをインタビューで聞くことができました。

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Q1.
(久能木さん)
以前銀行で働いていたとのことですが、今の仕事にチャレンジしたキッカケはなんですか?

(出雲社長)
もともと大学3年生の頃から、「ミドリムシで地球を救う」「栄養失調をなくす」ということを思って、研究は行っていました。

けれど、当時4年生になった頃は大量培養の方法が全くできておらず、どうすればいいのかもわかっていませんでした。そこでまず、社会について学ぼうと考えて銀行に就職することにしました。平日は銀行できちんと仕事をしていたのですが、土日や仕事が早く終わった時は平日も、研究を継続して取組んでいました。そのように働きながら研究を1年位続けた頃、このままでは中途半端だと感じました。もちろん銀行での仕事も本気で取組んでいましたし、その上で研究も行っていました。とても優秀な人だったら、両立させていたことができたのかもしれません。ですが、私は違いました。

そこで、私が本当にしたいことは何なのか?について考えなおしました。 結果、どこまでできるかは分かりませんでしたが、やはり学生の頃から研究してきて、もともと「やりたい」と考えていたミドリムシ一本に集中することを決めて、キャリアを転換することにしました。

Q2.
(久能木さん)
切り替えた時、成功するかわからない不安との葛藤というものはありましたか?

(出雲社長)
不安との葛藤というよりは後がないわけですから、「なんとかしてミドリムシを培養しよう」、「どうしたら培養できるだろうか」、ということばかりを考えていました。失敗したらどうしようとか不安を考えている余裕、時間はなかったですね。

Q3.
(堀込さん)

ベンチャー企業で働くことと、大手企業で働く上で「差」のようなものは感じましたか?

(出雲社長)
ベンチャーと大手、そうですね・・・。
よくたとえられる例ですが豪華客船や大型タンカーと、ヨットや漁船を比べれば、当然、豪華客船や大型タンカーであれば多少の荒れや、大きな波でも安全に航海できますよね。ですが、大きな流氷や岩が目の前に急に現れたとしたら、豪華客船や大型タンカーは急にはよけるのが難しかったりします。見えてからでは遅いのです。逆にヨットや漁船であれば、流氷や岩が目の前にあらわれたら、すぐに港に引き返すこともできますし、流氷や岩を、方向を少し変えてかわすこともできるでしょう。とは言え、ヨットや漁船では人が少ないので、乗っている人が一人病気になったり具合が悪くなったりしたとしたら、かわりになってくれる人はいませんね。

ベンチャーと大手というのは、そういう意味では、どちらがいいとか悪いとかは全くないと思っています。比べてもキリがないことです。

豪華客船やタンカーにもいいところ、悪いところがありますし、ヨットや漁船にもいいところ、悪いところがあります。例えば豪華客船やタンカーのいいところが49個、ヨットや漁船のいいところは42個だったとしたら、それで豪華客船やタンカーを選んだとしても、ヨットや漁船にある本当にいいところは分からないでしょうし、もしかしたら豪華客船やタンカーは、その人にとって大切な価値基準とあっていないかもしれません。

もちろん、いろんな意見があるとは思いますが、私は業界研究や企業分析というのも、仕事を選ぶという意味では、大きな意味がないと思っています。それよりも、どの船、どの会社でもご縁のあったところで本気で頑張るということが大切です。「この企業は思っていたのとは違う」とか、「ここは本来自分がいくべき企業だろうか」とかは、正解があるわけではありません。

ベンチャー企業、大手企業は確かに違いますが、仕事を決める上ではあまり意味はない、関係ないと思います。

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Q4.
(久能木さん)
働くということは、出雲さんにとってどういった意味があるのかお教え頂けますか?

(出雲社長)
私にとって「ミドリムシで地球を救う」ということは私のやりたいとこですし、それと今、ユーグレナ社としてやっている事業も「ミドリムシで地球を救う」ということなのでピッタリ同じなのです。ありがたいことです。

「仕事」と「仕事以外のもの」を違うものとして対比することは多いですが、私にとっては、休みの日にミドリムシのことを考えたり、田んぼや池、海などいろいろなところでミドリムシを探したりするのも楽しいです。たぶん私が安直なのだと思いますが、仕事って楽しいな、いつもミドリムシのことをしていたいなって思っています。

Q5.
(堀込さん)
働く上で出雲さんが一番大切にしていることは何ですか?

(出雲社長)
ポジション、立場によってちょっと違うのですが、現在ユーグレナ社では社長をしているので、社長として一番大切にしていることになります。会社は調子がいい時もあれば、悪い時もあります。そこで働く社員も体調が悪いときだってあります。会社の調子が悪いときや、体調が悪かったりする時は、雰囲気も悪くなりがちです。

ですが、会社の雰囲気と会社の業績が悪いというのは実は全く別の話です。調子が悪い時はあっても、それがずっと続くわけではありません。悪い時にあまり物事を考えすぎると、非常に暗い考えとか、アイデアが出てこなかったりします。会社というのは、せっかく仲間と一緒に働く環境ですから、その環境を少しでも明るく、気持ちのいい環境にすることは社長である私のすべきことだと思っています。他の専門的仕事、広報であったり、研究であったり、営業というのはそれぞれの仲間が頑張ってくれています。

社長である私は、その仲間が働く環境をもっと快適に、気持ちいい状況にすること、それが大切だと考えています。

Q6.
(堀込さん)
今実際に就活が始まっていて、先輩達はいろんな勉強をしたり、インターンシップに参加したり、資格の勉強をしています。ですが、いまいち企業がどういった学生を求めているのかがわかりません。実際に企業はどういった学生を求めているのでしょうか?

(出雲社長)
難しい質問ですね。 全ての企業がどういった学生を求めているかは正直分かりません。

ですから、私たちユーグレナ社としてだけからですが、当社ではインターンシップとか、TOEICとか、資格というのは、全くといって関係ありません。もっとハッキリ言うならば学生の時に身につけた知識とか、資格とかは、とてもいいものではありますが、あまり採用としてはすべてではないと考えています。こういったものは人より少し先に得た知識でしかなく、働き始めて本当に必要であれば、必死になってすぐに学びますよね。

ユーグレナでは、オンリーワンであること、他の人と違うことをやる勇気、そういったことをできるかのほうを評価として重用視しています。それは別にかっこいいことでなくて構いません。日々の些細なことであっても、こだわってそれをやり続けることができるかという勇気です。私たちユーグレナが事業で行っていることは、今まで前例があることではありません。だからこそ、先のわからないことをいかに本気で考えてやり抜くことができるか、そういった経験を最も高く評価すべき、がんばりポイントなんじゃないかなって考えています。

Q7.
(久能木さん)
資格とかそういったものではなく、中身を見ているということでしょうか?

(出雲社長)
ただ中身を見ているというわけではありません。

例えば、TOEICを受けるというのは多くの学生が行っていると思います。しかし、「周りのみんなが受けているから受ける」とか、「なんとなく受けなくてはならないから受ける」とかでは、たとえ点数が良かったとしても違いますよね。他の人とは違っても、自分の目標に必要なら一人でも取組める「度胸」があるかということを重視しています。

Q8.
(久能木さん)
今まで出会った方で、こういう人は度胸あったな、すごいなっていう人はいらっしゃいますか?

(出雲社長)
はい、沢山いらっしゃいますよ。

当社では採用のとき、いいなって思うと少し厳しく接することがあるのですが、そういった時「なんで自分がだめなのですか?」「どうしてもユーグレナに入りたい!」と、ひるまずに伝えるべきことは伝えてくれる度胸を見せてくれます。現在当社にいる仲間は、それぞれ違いますがそういった度胸のある仲間ばかりです。

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Q9.
(堀込さん)

社長をしていて楽しいな、ついつい熱中してしまうなという瞬間はありますか?

(出雲社長)
そうですね、社長をしていてというよりはミドリムシの研究をしていると楽しくて熱中してしまうということはあります。社長をしていて熱中しているということは・・・、そんなにはないかもしれませんね。ただ、直接的ではないかもしれませんが、最近社長をしていて嬉しいなって感じることが沢山あります。

最近では3つあって、会社の仲間から「結婚します」「子供が産まれました」「家を建てます」ということを聞くと、嬉しいですね。ベンチャーの社長をしている人は、こういった言葉は相当嬉しいと思います。なぜなら、当社も、東京証券取引所マザーズに上場させて頂いたのですが、それまではユーグレナと言っても、誰も知らないような会社でした。そんな会社ですから、御両親にユーグレナに入社すると言っても、わかってもらえませんでしたし、家を建てるといってもなかなか銀行からお金を貸してもらうことも難しいのです。

これは、先ほどの大企業とベンチャーの大きな違いでもあります。繰返しになりますが、だからと言ってどちらがいいというものではなく、そういった違いがあるということです。ユーグレナというベンチャー企業に働いていて、お家を建てるのに銀行からもお金をきちんと貸して頂ける評価をされ、一緒に働く仲間が結婚して、子供を育てられる環境をもてるようになったというのは、やはり嬉しいですね。

Q10.
(久能木さん)

以前に銀行でも働いていらっしゃったとのことですが、銀行で働いていた頃、面白い仕事はどんなことがありましたか?

(出雲社長)
面白い仕事というより、面白いことを見つけるには銀行はいい仕事でした。 ほとんどの人は、最初に行う雑務的な仕事を適当にやります。コピーをとったり、ATMのお金(何千万円もの)を詰めたりといった仕事ですが、こういった仕事は単純そうで、あまり面白くなさそうに思えます。

ですが、こういう仕事は真剣に取組むと面白さが発見できるのです。例えば、銀行への入金や振込というのは、「ごとう日」5日、10日、15日、20日、25日に集中します。周りの企業がどういった企業が多いかを把握して、20日がボーナス日とわかっていれば、20日が金曜日で天気も良ければ、多くの方が現金をおろしにくるのは予測できます。そこで、多めにお金を補充しておくことで、余計な手間なく仕事はスムーズに進めることができます。

こういったことは、普段から「なぜ」を考えているからこそです。適当にしていては気づけません。こういった気づきは、銀行での日々の仕事には多くあります。 どんな仕事も真剣にやれば、こういった発見はあります。大切なのは、「その仕事がどういった仕事か」ではなく、「その仕事にどう取組むか」です。銀行は、こういうことが如実にでる仕事が多かったですね。  

出雲社長には、他にもインタビューアーの個別質問に親身にお応え頂きました。 大きなことにチャレンジするにはチームが大切であること、チームの仲間について考え方などを、漫画ワンピースの事例なども含めて、分かりやすくアドバイスをもらえ、貴重な時間でした。

編集後記

(久能木さん)
「今回のインタビューを通して、会社は、チームで働くものなんだということが、社長の質問の返事から伝わってきました。周りの目標に共感する力が、自ら動き出せる組織の秘訣だということを実感しました。就職活動のためだけではなく、働くということについても詳しく話を聞くことができ、とても勉強になりました。貴重なお話ありがとうございました」

(堀込さん)
インタビュー会場についてすぐは社長と向かってインタビューした経験どころか企業のオフィスに立ち入った経験がほとんどないこともあり緊張しました。

しかし、インタビューが始まり拙い質問であったにも関わらず出雲社長が学生がきちんと理解できるよう、こと細かく噛み砕いてお答えくださったことで次第に肩の力が抜けていきました。

出雲社長の御経験やミドリムシ事業についてなど多様なお話をしていただき普段の大学の講義以上に楽しく、時間の経過がとても早く感じられました。

今回のインタビューのなかで働くとはどういうことなのかお話ししていただき、それまで漠然としていた「働く」という言葉に実感を得られたと感じたため特にこのお話が印象深く残っています。

本当に楽しくあっという間の90分でした。またこの様な機械があれば積極的に参加しようと思います。

この記事は私達が担当しました

  

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