こんにちは!
エスイノベーション株式会社インターン生の泉田義也です。
今回は株式会社MiaLuceの久保とくみさまにインタビューをさせていただきました!
経営理念は「闘病する患者と医療従事者目線、両方の視点から闘病する人々を対象に闘病支援サービスを提供する。」です。
闘病サポートサービス【Cure Mind】のアイデアを思いつき、システムエンジニアの友人と開発を始められました。これは、集約した匿名化したデータを製薬会社・研究機関に活用してもらい医薬の発展に寄与するためのプラットフォームモデルです。
会社概要
会社名 株式会社 MiaLuce
代表者名 久保 とくみ
設立 2024年5月15日
事業概要 闘病する方々を支援する事業
闘病支援アプリの開発
抗癌剤による脱毛などの副作用を和らげる機械のリース事業
製品開発事業
医療従事者のサポート事業
所在地 東京都港区南青山2丁目2番15号
URL 株式会社MiaLuce
インタビュー
それでは、インタビュースタートです!
(小瀬)
ビズキャンプラスの学生に向け、事業内容について教えてください。
(久保さま)
事業内容は患者さんのサポートサービスです。患者さんが疾患の理解や治療の意思決定に必要な情報を見つけるのにはコストがかかり、ネット上に正しくない情報が混じっているので、情報をつなげる必要があります。そこで、人と必要なサポートをつないでいくというプラットフォームを開発・運営しています。
(小瀬)
事業をはじめようと考えたきっかけを教えてください。
(久保さま)
きっかけは、私が実際にがんを患ったことです。主治医と話す時間は、1日5分もないくらい短いのが現状です。私も看護師だったのですごくわかるんですが、看護師さんも忙しく業務をしており、業務内で患者さんの思いを聞いている余裕がないというところがあります。ただ、患者さんは病気を告知された時が一番不安が強いので、そこをキャッチアップできるようなサービスを作りたい、というところがきっかけでした。
(小瀬)
医療者としても病気を理解されていると思うのですが、自分自身がその告知をされた時の気持ちとの乖離というのはありましたか。
(久保さま)
冷静な自分とすごく不安な自分の2人がいる感じでした。やっぱりロールモデルがいないと一番つらいと思い、自分がこの治療をしてその後どうなっていくかが不安です。それが見つかるようなサービスを作りたいなというのもあります。
(小瀬)
看護師をされてたということですが、同僚の方に自身のことについて相談はしましたか。
(久保さま)
同僚には相談しなかったです。できたらあまり言いたくないのもあり、説明するのも大変だと思っていました。
(小瀬)
その経験がアプリでの匿名にこだわるということにつながるのでしょうか。
(久保さま)
そうです。匿名で参加でき、安全が保たれる場所というプラットフォーム作りを行いました。傷つきやすい人だとどうしても気を遣ってしまい、「言わなきゃよかったな」と思うこともあるからです。
(小瀬)
ご自身が告知されたときの悩みを事業に転換したという、そのきっかけや原動力になったものはありますか。
(久保さま)
その時に治療しないと危ない状況だったのと、もしかしたら死ぬかもしれないというすごい恐怖がありました。もしこのまま死んだら私は何も残さないまま死ぬことになるなと感じ、絶対未来のがん患者の方もしんどい思いをすることになると思いました。このような負の連鎖を止めたいということがきっかけになりました。
(泉田)
アプリのプラットフォーム作りは順調に進みましたか。
(久保さま)
順調と言えば順調です。ただ、課題としてチームの人材があります。私がこの1年さまざまなアクセラプログラムを受けたのもあり、最初に一緒にやろうと言った方やチームの成長と、自分の成長はあまり比例していません。話が噛み合わないなどの乖離を埋めるのがすごく難しいと思っており、サラリーマンシップとアントレプレナーシップの差を埋めたり、人材をどのように育成したり探したりするかなどのところで今悩んでいます。
※アントレプレナーシップ:事業の創造や新商品開発などに対する創造意欲を持って挑戦し、リスクにも立ち向かっていく姿勢
(泉田)
構想を事業にする過程で直面した問題やさらに気付いたことはありましたか。
(久保さま)
アイディアをゼロイチで形にするのは、一人の力ではできないと思うので、まずは人を頼ることが非常に大事だと思います。頼りっぱなしは良くないのですが、分からないところは素直に分からないと認め、メンターや経験のある人に相談することが大切です。一人で抱えても解決できないことが多いので、自分が持っていないスキルを持つ方に質問する、頼るなどして自分だけで抱えないのが一番かなと思いました。
(泉田)
実際に御社のコミュニティに参加された患者の方からの反響はいかがでしたか?
(久保さま)
患者さん同士のコミュニティというのがよかったと思います。ただ、専門家と医療者とのマッチングというところは基本私が対応しており、手が回っていないのが現状です。患者さんはメッセージを早く返さないと不安になる方もいるのですが、私が常にその方にメッセージを返信できるわけでないのと、相談する患者さんと同じ疾患を経験された方だからできる寄り添いやアドバイスがあると考え、それぞれのがん種専属のピアサポーターがいるといいなと考えています。
センシティブなところでもあり、かなり気をつけなければいけないので、今はまだ試行錯誤をしている状況です。でも、病気を経験された方からは、おおむねポジティブな反応をもらっています。例えば、患者会や患者さん向けの予防イベントを開催したときに、こちらのサービス内容を伝えなくても、「こういうの欲しいよね」と言ってくださいますので、インタラクティブにサービスのアイデアを話し、サービス開発に活かしています。
(小瀬)
利用者(患者さん)の方からのニーズはどのようなものがありますか。
(久保さま)
利用者が自分の知りたい情報を得ることが一番のニーズかなと思います。また、治療の始まり、治療中、治療が終わりかけの段階など、それぞれのフェーズのおける最適な患者同士のコミュニティが必要だと考えています。
みんなで運動しようと励まし合う場所やリハビリ用のコミュニティなどがないのであれば、私たちのところで小さい患者コミュニティを作っていこうと思っています。闘病生活の記録ができるサービスが欲しいのであれば、作成してさらにはそのサービスを医療者に見せてコミュニケーションを円滑にすることを目指しています。
(小瀬)
今後の事業展開について教えてください。
(久保さま)
1つ目に、日本だけではなく海外の事業展開を考えています。まだヒアリングの途中ですが、海外も日本と同様に精神面、社会面においての課題は共通しているという仮説を立てています。そこについてのヒアリングを今後も続けて、オーストラリアなどで展開しようと思います。
2つ目に、このモデルはがんだけではなく、他の疾患や慢性疾患にも適応できると思っています。がんのプラットフォームを作り終えたら、ベンチマークにしているpatients like meのように他の疾患や社会課題をどんどん解決していこうと考えています。
3つ目に、若手や医療者の方のスタートアップ企業としての独立、新規事業をサポートしたいと考えています。医療者の人は一般の会社で働いたことがないので、独立には壁があると思ったからです。ただ、壁としてはそこまで大きくないと思うので、そこをサポートできるようなメンターの存在や、サポートできる若手の育成を今後したいと思っています。
(小瀬)
これからの子どもたちや大学生に対して、医学教育として、新たに学んでほしい事はありますか。
(久保さま)
1つ目に、患者さんの声をまず聞くことです。私たちから見ると、医師は診断という面では患者さんを見ていますが、患者さんの社会面や精神面、仕事はどうだろう、家庭はどうだろう、どういう背景を持っているかまではなかなか見れていないと思います。一口に”このがんのステージ”と断定することは難しく、みんなそれぞれ生活やバックグラウンドが違うので、そこを加味して伝える側も言わないといけないと思います。患者さんをただ診断する相手ではなく、人として全人的に見てほしいと考えています。
2つ目に、医療以外の分野のことを積極的に学ぶ、興味・関心を持つということが大事だと思います。私自身もそうなのですが、医療畑で教育を受けていると、どうしても視野が狭くなってしまいます。ただ、これは社会に出ると非常に危険だと思っています。
例えば、私の周りの医療関係者の方はお金面で騙される方もたくさんいるので、そういうことを防ぐためにも、さまざまなことに関心を持って勉強することは大事だと思います。ぜひ皆さんには医療だけではなく、いろんなことを学んで吸収して、社会とはどのように成り立っているのかを学んでほしいと思います。
(泉田)
将来に悩む学生、就活生に向けて今やるべきことなど、アドバイスをお願いします。
(久保さま)
若いうちに、体力があるうちに、時間があるうちにできることをたくさんしてほしいと思います。社会人になると体力面も落ちるのと、まとまった休みをとることが難しいので、留学(1週間から語学留学もできます)、海外旅行で違う文化の方と交流し新しい価値観や文化を学ぶ、ボランティア、学生向けのアクセラレーションプログラムなど国内でも新しい経験をするなど、若いうちにしかできない経験をたくさん積んでほしいです。そして、矛盾しているようですが、インターンなどの社会人体験もするといいのかなと思います。
あと私からひとつ言いたいのは、「就活!就活!」と言って、同じ時期に就職しますが、海外では就活の時期は決まっていないのと、就職するまでに1年間ブランクがある人もいます。日本は一斉就職の傾向があり難しいですが、海外の人はそのブランクの間にいろんな旅をしたり、いろんな人に会ったりする経験を積んでいます。例えば、大学院に行って1年休学するのも私はありだと思いますし、成功とされているレールが全てではないので、そこは念頭に置いててほしいと思います。
私は1回仕事を辞めて闘病などをして、成功しているレールの上を走っていないので、みんなが一斉就職して定年まで働かないと生きていけない社会でもないと考えています。時間を取りながらでも社会の経験を積んでもらいたい。ただ、いいバランスは必要だと思います。
(泉田)
ありがとうございます。就活を進めていく上ですごく励みになりました。頑張ろうと思います。
(久保さま)
頑張ることも大切だと思いますが、それだけが全てではないことを頭に入れておくと、だいぶ楽になるかなと思います。最近言われてすごく刺さり、学生のうちから意識すればよかったと思ったのがこちらの言葉です。
・優秀な人材ほど自分の有限な時間をどの領域にどれだけ投じるか。を冷徹に考えている
・時間=人生。時間=お金ではない。
二流は自分の時間をお金に変えている
一流の人材は自分のLIFEをお金と自己成長、社会貢献に繋げようとする
学生=時間は多く、選択肢もたくさんありますので、是非失敗を恐れずチャレンジしてください!
私達先輩をいつでも頼ってください。
インタビューを終えて
(小瀬)
まずはインタビューをさせていただいてありがとうございました。
医療者としてもまた、医学生としてももう少し知見を広めるべきなんだなと思いました。患者さんのバックグラウンドに対しても傾聴しなければいけないなど、いろいろなことを学ばせていただきました。ありがとうございました。
(泉田)
本日はインタビューありがとうございました。
私自身もインタビュー初めての経験だったので、最初は緊張した部分がありましたが、実際話していくうちに、私自身の入院した経験もあったので、そういった部分も重ね合わせながら話をお聞きすることができました。
若いうちにしかできないことをより経験していこうと思いました。
以上、株式会社MiaLuce 久保とくみ さまへのインタビューでした!
次回もお楽しみに〜
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