海から人を守る新しい救命活動|株式会社よびもり 千葉 佳祐様 インタビュー

こんにちは!運営の泉田です。

今回の経営者インタビューは株式会社よびもりの代表の千葉様です。
『海に関わる全ての人の「いってきます」と「ただいま」を守る。』を目指して海難救助を1分で始める「よびもり」の開発や提供を行っています。革新的な事業をどのように生み出したのか。
ぜひご一読ください!

 

会社概要


会社名   株式会社よびもり
代表    千葉 佳祐
住所    札幌(本店):北海道札幌市北区北7条西4-1-1 トーカン札幌第1キャステール607
      福岡:福岡県福岡市中央区舞鶴1-9-3 朝日プラザ天神1204
資本金   3,680万円
設立年月  2019年8月
事業内容  漁師の助け合い救助サービス「よびもり(yobimori)」の運営
URL    株式会社よびもり 



インタビュー


それではインタビュースタートです。

(中山)
ビズキャンプラスに登録している学生に向けて、株式会社よびもりの事業内容について教えてください。

(千葉様)
海で事故があった時に信号を発信して助けを呼ぶ端末と、それを受け取るスマホのアプリを開発しています。最近、知床の観光船事故がありました。他にも海では様々な事故がありますが、その時に私たちのサービス「よびもり」を使ってもらうと、海上保安庁だけでなく、公的機関ではない一般の方々による捜索・救助が行えるため、素早い対応が可能になります。このようなサービスを漁師さんや観光船、海に出る方々に提供しています。

 

(中山)
起業のきっかけになったエピソードを教えてください。

(千葉様)
私は北海道の紋別という田舎の海沿いの町に住んでいました。そこは漁師町で、漁師さんが事故などで亡くなることがよくある町でした。私の祖父も知床の町で漁師をやっており、転覆事故で亡くなり、遺体もあがらなかったんですね。海の事故だと遺体が見つからないことがよくあります。そのため、私が小さいときに、親や親戚が「どこかでおじいちゃんが生きているかもね」と話しているのをよく聞いていたのがきっかけで生まれたサービスです。

(中山)
「よびもり」は「救助を呼べるお守り」という意味があるそうですが、お守りに着想を得たエピソードがあればお願いします。

(千葉様)
お守りに着想を得たのは、漁などで海に出ていく人たちの家族にフォーカスしていて、その家族から渡される思いが乗るようなものにしたかったからです。

海で事故に遭うリスクがあるのは漁師さんですが、その人を助けるというのは手段のひとつでしかないと思います。どちらかというと、海で事故が起きた時は家族側にダメージがあり、その痛みを解決することが発想のスタートでした。海に出る人が命を落とさないことがみんなの幸せにつながると考え、それが「よびもり」という名前にも表れています。

 

(中山)
学生時代に事業を立ち上げたとのことですが、起業時の苦労やメンバーとの関係性など、大変だったこと、苦労した点などをお聞かせください。

(千葉様)
私たちの場合は学生起業なので、最初は会社というより”学生チーム”という感じでした。例えば、アプリなどのインターネットの中で動くサービスを作る場合、開発者エンジニアがいればできます。ただ、私たちの場合は物理的な機械を作り、それをアプリとつなげる必要がありました。

当時の私たちは社会で働いたこともないし、何もできない集団みたいな感じでした。能力がない、経験値もない集団なので、ゼロから作り上げて、開発して、設計して。「大量生産はどうするんだ」「基板はどういう回路を書くんだ」「基板に乗せるバッテリーの型番やチップの型番がどうだ」といった話になり、結局難しすぎてできませんでした。会社がうまく進捗しなくて、徐々にメンバーも燃え尽きてしまい、商品作りの過程は結構大変でした。

 

(小瀬)
3人での事業立ち上げということですが、逆に、そのメンバーだったから良かったことなど、学生時代の思い出はありますか。

(千葉様)
その時は休学しながら進めていたので、学生なりにリスクを取って本腰入れてやるぞというメンバーで始められたのは非常に良かったことです。

 

(小瀬)
3人とも同じモチベーションだったということですか。

(千葉様)
厳密に言うと、自分ともう1人が休学しながらガッツリ事業に取り組んでいました。3人目は卒業後を見据えながらの取り組みでしたが、熱量を持ってその3人で動いていました。

途中からシェアハウスを始めたメンバーもいました。私はシェアハウスはしていませんでしたが、そこを通じてコミュニケーションをこまめに取りながら、事業にかなり没頭していましたね。

(小瀬)
冒頭のエピソードも含め、辛いことがあっても目を背けなかった理由について教えてください。

(千葉様)
私の祖父が亡くなったのは自分が生まれる前の話なので、直接的に家族の死に直面したわけではありません。ただ、家族内で昔の話をよくしていたので、祖父の死を身近に感じていました。

今までのことを振り返ると、不思議な力を感じていたからかもしれません。福岡で創業したのですが、知床での観光船事故やその自治体と共同プログラムを進めていく機会があったことなど、福岡にいながら知床や自身のルーツとなる町に引っ張られていきました。福岡で一生懸命に事業を進めていく中で、自然と導かれている感覚があったので、ここまで進んでこれたのかもしれません。

 

(小瀬)
よびもりの普及率や反響について教えてください。

(千葉様)
観光船や建設会社、大学なども使ってくれている状況ですが、ユーザーのほとんどが漁師さんです。ただ、釣り人など一般の方に対してはまだそれほど提供してない段階なので、今後進めていきたいと考えています。

反響については、よびもりを命綱のように感じ、使ってくれているといった状況です。使ってくれている方の中には、家に忘れたら取りに帰るという方もいるほどです。また、海に出る旦那さん自身は面倒くさがっているけど、奥さんが心配だから毎朝持たせているといった声も聞きますね。

▲よびもりの端末

(小瀬)
救助を想定しての講習やサービスなども実施されているのでしょうか?

(千葉様)
はい。救助訓練や、人の代わりに浮き玉に端末をつけて実際に捜索してみることもしています。溺れた状況になると、アプリが入っているスマートフォンなどの端末がJアラートみたいに鳴るので、位置情報を確認して捜索開始という流れです。また、私自身もよびもりを体験してみることもあります。

 

(中山)
自らが実験台になり海に漂流してみたこともあるそうですね!社長にとってよびもりは命そのものであり、命をつなぐものだと感じました。事業を進める情熱の源になっているものがあれば教えてください。

(千葉様)
よびもりを続けていけば、必ず世の中の役に立つことは事例なども通じて感じています。あとはこのサービスをより良くしていったり、より多くの人に届けたりしたいと考えています。私たちの作ったサービスで命が救われていくということがモチベーションにつながっていると思います。

 

(中山)
会社全体の目標や、また社長自身の今後の目標はありますか。

(千葉様)
当社がやってることはすごくシンプルで、海に関わる問題や事故を解決するための会社なので、海に出る方全員が当たり前に持っているものになってほしいです。海に出た人全員が一番早い救助をいつでも受けられるようなインフラがある世界観をつくるというのが目標であり、この会社の目的です。

(小瀬)
学生のうちにやってほしいことや知ってほしいことについて教えてください。

(千葉様)
在学中に自分の思う事業や取り組みをするといいのではないかと思いますね。自分のキャリアや進路を考えるときに、自分の能力や経験値、スキルなどの武器を揃えようみたいな感覚があるとは思うのですが、自分がゼロから生身で動き始めてみて、この世界には思ってたより怖いものがないとしっかり確認できたことが資産だと思います。

もし明日、野放しにされて社会から切り離されたとしても余裕で生きていけるし、命を落とさないということを身体で確認できたことが、自分にとって一番資産性が高かったと思います。思っていたほど世の中は怖くないし、死ぬかもしれないと思うような怖いことは存在しないと確認できました。

単純に言うと、お金や仕事がなくなったらどうしたらいいかわからないと不安になりますが、何も怖いものはないし、仮に怖いものがあったとしても、自分が動けば突破できると考えています。この考え方を手に入れてから、本当の安定を手に入れたような気持ちになりました。

だからチャレンジしてほしい。強くなろうとするためではなく、”マイナスが意外と存在してない”ということを確認するために、いろんなチャレンジをしてほしいなと思いますね。

 

(小瀬)
事業を進めていく中で不安に思うことはなかったのですか?

(千葉様)
ないですね。もちろんきついことや大変なことが多くあるので、ずっと辛いですが、不安なことがあってもそれを解決するしかないと考えています。「また大変な仕事がきたな〜」という感じです(笑)

仮に自分にとって突破できなかった状態だとしても、それまでというか、それが自分の限界だったので仕方ないのだと思えます。今の生身の自分しかないということを受け入れているので、不安というよりは真面目にまっすぐやれることをやって、結果がどうだったかを後で受け入れるしかないかなと思います。

 

(泉田)
チャレンジをしていくうえで、モチベーションの波があるとき、どうしたらよろしいでしょうか?

(千葉様)
これはよくある話で、もうそんなこと言っていられない環境に自分の身を置くのが一番楽です。それをしないと死ぬぐらいの状況になった方が本当は楽だと思います。そしたら、もうそんな悩みは出ないはずです。だから、「そういう環境にその場のノリでもいいから飛び込んでしまう」みたいなのが本当は一番良いと思います。

また、もうひとつの考え方として、飛び込んだ先で大変なことがあった時に、そこで一度自分と向き合うことが大切です。「テンションが低い、元気が出ない、諦めたい、疲れた、やめたい」という状態になった時、多くの人は「辛いからもうやめよう」という選択肢があがると思います。

ただ、「本当にやめたいのか」それとも「ただ疲れただけなのか」はしっかり区別する必要があります。人間は意外とこの2つをごちゃ混ぜにして考えることがあり、やめたいと思うときの大半はただ疲れていることが多いです。そこを確かめることが非常に大切ですね。

インタビューを終えて


(中山)
本日はお忙しい中、お時間をいただきありがとうございました。今回のインタビューを通して、個人的にさらにお話に行きたいなと思いました。私も、いろいろと将来の選択で悩んでいたのですが、もう一度自問自答してこれから先の就職活動を頑張っていきたいなと思います。

また、千葉さんのようにイメージを現実に変えるという勢いも大切だなと思ったので、とてもいいお話を伺えて、自分の人生の糧となりました。ありがとうございます。

 

(小瀬)
本日はインタビューの時間を頂戴し、ありがとうございました。私は結構不安になることが多いので、まだまだ甘いんだなということをインタビューを通して感じました。また、何回か海で溺れた経験もあり、実際に大学生も海に行くことが多いので、「よびもりがレジャーにも普及していったらいいな」と個人的に思いました。ありがとうございました。



以上、株式会社よびもり 千葉様のインタビューでした!
「怖いと思うものを消すという方が一番幸せになれる」ということで、不安なものの正体を突き止めて新たなチャレンジをしていきたいと思います!

次回もお楽しみに~

この記事は私達が担当しました

  

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