外国人が働きやすい・住みやすい日本社会を実現する|KUROFUNE株式会社  倉片 稜様 インタビュー

こんにちは!ビズキャンプラス運営の畠中です。

今回は、KUROFUNE株式会社代表取締役 倉片 稜 様へインタビューさせていただきました。
「日本の労働市場を開国し、外国人が活躍できる社会を実現する」をビジョンに、外国人の就労支援・生活支援や、在日外国人支援アプリ「KUROFUNE」、「KUROFUNE PASSPORT」を運営しているKUROFUNE株式会社。
今回のインタビューでは、事業内容や今後の展望から、第一線にいるから話せること、そしてこれからの時代を生きる学生へのメッセージまで、多岐にわたる貴重なお話をお届けします!

「労働人口問題」や「人口減少」、「外国人支援」などに興味のある方、必見です!

 

会社概要


会社名  KUROFUNE株式会社
代表   倉片 稜 
住所   愛知県名古屋市西区那古野2-14-1 なごのキャンパス2-6
設立年月 2018年2月15日
事業内容 人材紹介・定着事業・生活支援事業・
                  外国人労働者の就労支援アプリ「KUROFUNE」・
                  特定技能労働者の法定支援/定着支援アプリ「KUROFUNE PASSPORT」
                「WABISABI-MEDIA」運営
URL   KUROFUNE株式会社

 

インタビュー


 

(野村)
ビズキャンプラスの学生に向けて、事業内容を教えてください。

(倉片さん)
就職支援の「KUROFUNE」、定着支援の「KUROFUNE PASSPORT」という2本立てで事業を行っています。
1つ目は外国人の就業支援として、就職のサポート事業をしています。具体的には、日本に住んでいる外国人の方向けに、自社で開発した「KUROFUNE」というアプリを通じて、職業紹介を行っています。また、国外から直接採用したいといったご相談もあるので、9カ国100以上の現地のエージェントを通じて人材を募集して紹介を行っています。
2つ目は「KUROFUNE PASSPORT」というアプリを開発し、中間支援機関として、特定技能労働者に対する法律上必要な業務支援を展開しています。また、彼らが長く日本企業で定着・活躍できるような支援も、アプリを通して提供しています。

 

(野村)
御社は外国人が日本で安心して働けるように支援をしているのですね。この事業を立ち上げようと思ったきっかけは何だったのでしょうか。

(倉片さん)
私は前職の時、社会人ながら年に12カ国も海外に行っていました。海外の方が日本のことをどう思ってるのかという興味があって現地の人と話していたのですが、思った以上に日本の評価が低いなと感じたんです。このままだと日本を選んで働きたいと考える方が少なくなってしまうという懸念を覚えました。ですが、日本にいると「外国人労働者は日本に来たくてしょうがないから、何もしなくても来ますよ」という風潮を感じました。そのギャップを埋めたい、外国人が日本に来たいと思えるような環境を作りたいと考え、今の事業を始めました。

 

(野村)
少子高齢化によって生産年齢人口が減り、労働力不足改善のために外国人支援の取り組みを行う企業が増えていますが、御社ならではの強みや違いはありますか。

(倉片さん)
アプリでサービスを展開しているという点では大きく他社と違うと思います。
外国人支援の業界内ではアナログ支援をしている会社がまだまだ多い状況です。外国人労働者はスマートフォンを持ってるので、日本にきたばかりでもアプリであれば気軽に利用することができ、アプリで支援している点で大きな特徴があると考えています。それから、定着支援に力を入れているところが他社と異なると考えています。
昨今は「いかに人材を採用できるか」というサービスが増えている印象があります。採用後の定着のためのケアに関してはまだまだ手薄で、外国人だからこそより手厚くやっていかなければいけないと考えています。

 

(牧田)
別のインタビュー記事で、生活支援事業の際に多くの外国人の方にヒアリングをされたと伺いました。具体的に外国人労働者の方々はどのような悩みを持たれているのでしょうか。

(倉片さん)
外国人の方の悩みは多岐にわたっているので一概にこれとは言えないですが、賃金がなかなか上がらなかったり、ポジションが前職と合わなかったりすると、今の職場で長く自分が働くことができるのか、悩みを持つ方は結構多いかと思います。また企業側でのサポートが薄いと、この会社に長くいることができるのか、といったリアルな悩みを聞くことが多くあります。総合的な支援をしなければいけないというのは、当時から思っていますね。

 

(牧田)
雇用する企業側で抱えている問題やそれに対する御社の働きかけを教えてください。

(倉片さん)
雇用する企業側の悩みでは、外国人のサポートの点で相談を受けるケースがたくさんあります。特に車社会である地方では外国人労働者から「病院まで一人で行けないので連れていってほしい」という相談がよく来る、というのがありますね。例えば愛媛県の島に顧客がいるのですが、その島に行くには高速道路を使わないといけないんですよ。自転車でも行けますが15kmぐらい走らないといけないので、「代わりに病院に連れていってくれませんか」という要望をいただくことがあります。
地方だと病院や買い物に行くにあたって彼らができないことに対応する必要があるので、生活インフラのところで悩みが多い印象です。

 

(牧田)
その悩みに対して、実際に病院に付き添ったりされているということでしょうか。

(倉片さん)
アプリの中に「同行依頼機能」を付けており、弊社のスタッフが駆けつけて支援しています。ただ今後はタイムラグなく、日本全国をカバーするために弊社のスタッフ以外にも同行できるメンバーを増やしていきたいと考えています。愛知県の豊橋市という、人口36万人に対して外国人比率6%の日本でも有数の外国人が多い地域で、去年ある実証実験を行いました。同行依頼が来たら、地元の豊橋に住むアクティブシニア(外国人支援に興味あるご高齢の方々)に代わりに対応してもらいました。
実際に同行していただいたら何の支障もなく対応できたので、今後はこういったアクティブシニアも含めて、地元の外国人支援に興味ある方を当社がプールしながら、日本中どこでもどんな相談でもすぐに駆けつけて対応できるようにしていきたいと思ってます。

 

(野村)
倉片さんが実際に多国籍の方々と働かれる中で意識していること、心がけていることはありますか。

(倉片さん)
やはりその国のことは最低限知らなければいけないと思います。当社に所属している社員の国の文化や歴史などは全部目を通していますね。
当社のお客さんの企業を見ていても、雇う社員の国のことを知らないケースが多々あります。その国の文化だけではなく、日本がどういう風にその国と関わったかも調べます。そういうことを知らずに雇っていて、コミュニケーションのミスが起こるのはもったいないですよね。その国の食べ物を食べたり、事前に文化や歴史も把握して、まずは彼らの国をしっかりと知った上で接することが大事だと思います。

(野村)
ビズキャンプラスの学生に向けて、学生時代にやっておくべきことがあれば、ぜひお聞かせください。

(倉片さん)
意外かもしれませんが、実は私は大学時代一度も海外に行ったことがないんです。それこそ大学に入学するときは「絶対留学行くぞ」と思っていたんですが、気がついたら卒業してたので、大学生活は結構早いなと感じたんです。

学生時代にも興味があることがあったら、躊躇うのではなく果敢に取り組めばいいと思います。海外に自由に行くっていうのは社会人になるとなかなか出来ないし、ましてや家族ができたら尚更だと思うので、行けるうちに、大学生のうちに色んな国に行っておくといいと思います。
もう少し英語を勉強してから行きたいなと思うかもしれませんが、私も自信がない中で単身インドへ行き、拙い英語でもやっていけたことが自信になりました。英語が話せるかどうかは海外に行くことに関してはあまり関係ないので、どんどん海外に行くっていう決断をした方がいいですね

 

(畠中)
大学時代に留学経験がないということで、かなり意外だと感じました。今こういった事業をされる上で、大学時代や前職から活かされていると感じることはありますか。

(倉片さん)
大学時代から好奇心旺盛で、何か始めたら最後までやり遂げるというのが好きでしたね。
大学4年生の頃、スタートアップで働いたり、自転車にハマったりしました。実はロードバイクで日本一周したこともあるんですよ。やってみたいと思ったことは、やってみて、最後までちゃんとやり切るというのが大事だなと思います。

正直インタビュー記事なんていいことしか書いてないじゃないですか。経営者の人はあまり話さないと思いますが、起業するとキラキラしたことばかりではなく、やっぱり苦しいことの方が多いんですよ。社会人になるって、そういうことが多いですよね。その中で諦めずに最後までやり遂げるということが、大学時代や前職での経験も含めて今に活かされてると思います。

 

(牧田)
海外の方から日本がもっと選ばれる国になるようにというお話をされていましたが、そのために日本に必要なことを教えてください。

(倉片さん)
外国人との共生について、選挙でも取り上げられることが増えてきました。その根本には、日本国民全体として外国人の受け入れに対して、まだ理解できていないところがあると思うんですよ。
外国人を雇用している企業、あるいは身近に外国人がいらっしゃるような方であれば、しっかりとコミュニケーションを取っていて、「外国人の方ってよく働くし、地域に溶け込んでいるし、いいよね」という話は出てくるんです。

地元の人が突然移住して来た若者を嫌がるように、よそ者はよく分からないからって嫌われますよね。外国人もよく分からないからなんとなく嫌だという面があると思うんです。ちゃんと腹を割って話せば、日本に憧れを持って来たとか、日本の文化に触れたいと思って来たとか、そういうストーリーを聞いたりすると、受け入れやすいと思います。

外国人と話したことがない人は多いと思うので、身近にいる外国人とまずは話してみて、その人がなぜ日本に来たかを知ると、興味が湧くと思いますよ。そうやって日本国民が外国人に関心を持ってコミュニケーションを取っていけば、外国人はもっと日本に興味を持つのではないかと感じます

(牧田)
最後に、今後の事業展開や倉片さんが思う目標について教えてください。

(倉片さん)
KUROFUNEという社名である限りは、その根幹として日本を”開国”していかなければいけないと思います。私たちが思う”開国”は、外国人にとって日本が働きやすい、住みやすい社会になるということなので、これを実現するまでは開国とは呼べないですね。
上場するとか、大手企業とM&Aするとか、会社としてのフェーズもこれから変わってくると思いますが、根幹である「日本を開国したい」という思いは、どのフェーズに会社があろうとも、私個人としては成し遂げていきたいです。

日本人が外国人に対して抵抗感を感じているのは、第一線にいるからこそより強く感じます。外国人労働者を教育して日本に馴染めるようにしていくとともに、日本人に啓発活動を行い、外国人に対してポジティブに受け取れる文化を作っていく。この2つの側面をしっかりと実現して、社会に認められるようになってこそ、私たちは開国できたと言えると思います。

 

インタビューを終えて


(牧田)
私自身、大学で日本語教育学を専攻しており、加えて登録日本語教員の養成講座を受講していて外国人の労働環境や様々な問題の解決について関心を持っていたため、実際に支援事業をされている倉片さまから非常に勉強になるお話をたくさん聞くことができて光栄でした。
今後も日本に在住する外国人の数は増えていくと思いますが、倉片さまのお話を聞いて相手のことを知り、尊重することが共生していくうえでの第1歩であると感じました。改めて「共生」について深く考えるきっかけとなりました。
倉片さま、貴重なお話をありがとうございました!

(野村)
今回のインタビューを通して、KUROFUNE株式会社様の活動がいかに多文化共生を真剣に考え、実践しているかを深く知ることができました。特に印象に残ったのは、「支援ではなく、対等な関係で関わることが大切」という姿勢です。同じ目線で歩もうとする温かさに心を打たれ、自分もこんな風に人と関われたら素敵だなと思いました。
また、違いを理解しようとする努力が大切だというお話にも強く心を動かされました。言語や文化、背景が異なる中でも、手を繋いで笑い合える関係性を築こうとする姿勢は私たちのこれからの社会に最も必要な価値観だと感じました。
インタビューを受けてくださり、誠にありがとうございました。これからの自分の人生に是非活かしていきたいです。

(畠中)
本日は貴重なお話をありがとうございました。外国人就職支援に、採用という面と定着という面の二面性があるということが、私にはない視点だったので興味深く感じました。
私も外国人の方と話していく上で、国の違い、価値観が違うということは、齟齬ではなく文化や国民性による違いというのは、すごく感じているところです。これからの時代はなにかとグローバルな視点が求められてきますが、そのバックグラウンドを知るということを1つ意識してみようと思います。ありがとうございました!

(泉田)
本日は貴重なお話いただきありがとうございます。
大学時代、留学したことがないのに加えて、就職先が外資系メーカーなので、境遇としてすごい似ている部分があるなと思いました。
労働人口減少という日本の社会課題の解決口として、外国人労働者が注目を浴びているので、今回第一線のお話というところを聞かせていただけたと思います。
特に、AIが進んだことで、外国人とのコミュニケーションをとることのハードルが下がったことを実感していく中で、やはり人同士で話すコミュニケーションの価値も存在すると感じたので、AIを使いながら外国人の方とコミュニケーションを取っていく、その2つをうまく意識して、自身の就職先でも活かしていきたいと思いました。
本日はありがとうございました!

 

以上、KUROFUNE株式会社代表、倉片さんのインタビューでした。

次回もお楽しみに!

この記事は私達が担当しました

  

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