すべての道を、AIでより安全に。|KB-eye株式会社 秋山 一也 様 インタビュー

こんにちは!ビズキャンプラス運営の畠中です。

今回は、KB-eye株式会社 代表取締役 秋山一也様へインタビューさせていただきました。
「すべての道を、AIでより安全に。」をビジョンに、「AI×警備」や「AI×交通誘導」のシステムを展開。交通誘導システムと自動運転車などが連携し誰しもが安心して暮らせる、事故のない街づくりを掲げる、KB-eye株式会社。
今回のインタビューでは、事業内容や今後の展望から、起業を目指す学生へのメッセージまで、多岐にわたる貴重なお話をお届けします!

「AI代替」「インフラ」「人材不足解消」などに興味のあるキャスターの方、必見です!

会社概要


会社名  KB-eye株式会社
代表   秋山一也・橘田 孝一
住所   山梨県中巨摩郡昭和町西条5145
設立年月 2018年8月8日
事業内容 KB-eyeシステムの開発・販売・保守、警備業
URL   KB-eye株式会社

 

インタビュー


(安形)
KB-eye株式会社の事業内容について教えてください。

(秋山さん)
映像解析技術を活用して交通誘導システムを開発しています。従来、工事現場において誘導員が複数名で担っていた業務を、AIと機械を組み合わせて効率化することで、省人化する仕組みです。警備業界は非常に人材不足で高齢化も進んでいます。こういった課題に対して生産性を向上させてコストを削減しながら、安全性を担保するシステムを提供しています。
最終的には、警備の効率化に留まらず社会全体のインフラに活用し、スマートトラフィックネットワーク社会を実現することを目指しています。

(安形)
AI交通誘導システムは、従来の人間による交通誘導と比べてどのような特徴や強みがありますか。

(秋山さん)
人の代替ができるというのが一番のメリットです。カメラを使って、映像に映っているものが人なのか車両なのか二輪車なのかを区別することができます。
危険な場所に人の代わりにAIを置くことで、誘導員自体が危険な現場から解放され、安全性が向上します。
さらに、省人化・効率化することで一人当たりの生産性を上げることができます。複数人必要なところを、機械を使って少人数で同じだけの成果を出す。これをすることで、警備業を労働集約型から付加価値型に変更して、収益性を上げていい社員を育てていくことができます。

(安形)
実際に導入した企業や自治体からの反応や効果はいかがでしたか。

(秋山さん)
人材不足が解消されたという評価が多いです。全国の工事現場では、道路の舗装を直したり、電線を張り替えたり、高速道路を作ったり、様々なインフラ工事が行われています。ですが、誘導員がいなくて工事が始められないという事態が全国で頻発しているんです。そういった現場の労働力を補い「少ない人数で同じだけの仕事ができるようになって、体力的負担が減った」という声をいただいています。
安全性についても評価いただいています。現場で働いている誘導員さんは、全国で年間2000名くらいが事故に遭い、年間30名くらいが車に轢かれて亡くなっています。人から機械に置き換えることで、こういった受傷事故、人身事故、死亡事故すらなくすことができます。現場に立つ誘導員からは「安心して仕事ができるようになった」という声をいただいています。

(安形)
AIと交通誘導システムという異なる分野を結びつけるきっかけとなった出来事を教えてください。

(秋山さん)
私は起業してから20年警備業に携わってきましたが、人による業務形態には限界があると常日頃感じていました。警備業というのは労働集約型と言って、人手が不可欠な仕事です。少人数でできる仕事に変えていかないと地域の安全を守り続けることはできないので、いつかは機械化しなければならない業種だと思っていました。

きっかけとしては、受傷事故によって仲間や社員が事故に遭い、悲しい思いをした過去があります。この危険な仕事をどうにかして安全な仕事に変えられないか、という思いでシステムを開発しました。
自分で開発できるわけじゃないので、AIの知識があるIT会社の後輩社長に声をかけて引き込みました。

(衣笠)
人材不足や高齢化が進む中で、AIによる代替はどの程度有効だと思いますか。

(秋山さん)
全部をAIに変えられるかといったら、そうはいかないですよね。AIというのは本質的には人の役割を奪うものではないと考えています。単純な仕事や危険な仕事、人じゃなくてもいいところはAIに任せて、監督・管理や判断、お客さんへの対応など、そういった仕事に人間が集中していく。人とAIが共に働くという形が、未来のスタンダードになっていくだろうなと思います。

(衣笠)
約20年間警備会社を経営されていたそうですが、もともと起業する夢はございましたか。

(秋山さん)
起業したのは26歳の時でした。大学在学中から何か事業をやりたいと思っていましたが、業界にこだわりはありませんでした。警備業を選んだのは、義理の父から「地元に警備会社がないんだよ。山梨に帰ってくるんだったら、こういう仕事が儲かるんじゃないか。」という話を聞いたのがきっかけでした。

人生は本当に偶然の積み重ねだと思います。最初は資格がないと始まらないので、警備会社に勤めて資格を取ってから起業しました。足りないことも知らないこともたくさんありましたが、必要とされることが嬉しくて必死に働きました。結果が出るとさらに学びたくなって、マネジメントやマーケティングも勉強するようになりました。やりたいことがなくても全力で取り組めば、やりたいことは見つかる、道は開けるのかなというのを体感できた20年でしたね。

(衣笠)
20年間経営していく中で苦労されたことや転機となったことはございますか。

(秋山さん)
一緒に「山梨で一番になろうぜ」と意志を共有した幹部社員がどんどん離職していった時や、従業員が事故に遭った時が、苦労であり転機でした。

「結婚したいんで、ちょっと真面目な仕事に就職したいです」「親からそんな危険な仕事はやるなって言われた」とか。自分たちが命を懸けてやっている仕事に対して、職業価値が低く見積もられていることを感じました。
この違和感からの脱却というのが、現在の挑戦の原点になっています。

(安形)
AIと人間との共働が求められる世界で、今後どのような課題に直面すると考えていますか。また、その中でさらに挑戦したいことはありますか。

(秋山さん)
我々の業界は非常にレガシーです。セコムさん、アルソックさんみたいな大企業もあれば、10人、20人でやっている小さな地元の警備会社もあって、全国で1万社ぐらいあります。約58万人が働いていて、市場規模は3.5兆円ぐらい。そこそこ大きい業界なんです。
そしてレガシーが故に新しいモノの導入に非常に反発、抵抗があります。この事業を始めて7年になりますが、地方に行くと「俺らの仕事潰す気か」「人の代わりに機械なんて入れるんじゃねえ」と怒られたりしました。
2000年〜2020年の20年間で1000万人もの労働人口が減りました。2040年までにさらに1000万人、人がいなくなると言われているのに、どうやって人だけで仕事をやっていくつもりなのか。

なので課題としては、過去に成功したビジネスモデルに固執している人たちのマインドを変える、パラダイムシフトが必要だと思っています。
具体的には、140社ほどを集めた全国交通誘導DX推進協会という協会を作り、国土交通省や警察庁に制度を変えるよう要請しています。
また、警備業のような仕事の価値を高めるためには、専門職にする必要があると思っています。AIシステムを活用した設置の仕方、運用の仕方という面で、AIオペレーターという資格を作り、付加価値を認めてもらうことが、今直面している課題です。

挑戦したいことは、社会のインフラとして認められるようになることです。
交通誘導システムが日本中の現場に普及した後は、プラットフォーム化することを狙っています。街の中に防犯カメラがたくさんあり、交通量自体をAIで一元コントロールできるような、安全な社会が実現できる。スマートトラフィックネットワーク社会を実現したいと考えています。

(安形)
学生時代の生活はどのような感じでしたか。

(秋山さん)
特に将来のビジョンもなかったので、アルバイトばかりしてました。自分で何か生み出す楽しさとか、人の役に立つ楽しさを知れた点で、学生時代のアルバイト経験は非常に役に立ったかと思います。

自分で稼ぎたいとかいい生活をしたいみたいな、若さ故のシンプルな欲もあったので、起業もできたのかな。根拠のない自信みたいなのも決して悪くないと思っていて、その過程で足りないものを自分で埋めようとして、目の前にある課題を克服していけると成長できるかなと感じています。

(衣笠)
AI技術を発展させるために、今の学生にはどのような経験が必要だと思いますか。

(秋山さん)
私は経済経営学部でしたが、エンジニアじゃないのにこうやってAIシステムを作っています。私はよく「文系AI」と言っていますが、AIを社会にどう広めるかというのを考える方面ですね。AIというと、エンジニアの仕事でプログラミングが必須だと思いがちですが、技術の部分そのものというよりも、それを使って社会をどう変えるかという視点で考えることが大事かなと思います。

答えは意外と身近なところにあります。私は交通警備業務を突き詰めてひたすらやっていたけど、それに近いところにあった課題を解決したいと思って、AI警備システムを作り出しました。
自分のアルバイト先、勤務した仕事の中で一生懸命やってると、漠然とした違和感を感じることがあるかと思います。それに対して新しい技術を使ってどう世の中を変えたら便利になるか、役に立つかってことを考えてほしいですね。
ただ、身近なものをAIやテクノロジーを使って変えるって、あまり時間は多くない。AIがどんどん普及してしまうと、そういった変革すら人間がやる仕事ではなくなってしまうので、行動に変えるのは早い方がいい。皆さんはそれができる最後の世代かと思うので、ぜひ頑張ってほしいです。

(衣笠)
最後に、起業を目指す若い世代に向けて、アドバイスやメッセージなどお願いいたします。

(秋山さん)
完璧な準備というのは全く必要ないです。私自身もたまたま周りの人間から聞いた「地域にない」というきっかけから始まっているわけです。当然すぐにうまくはいきませんでしたが、必死に行動していく中で少しずつ成果が出て、やりがいを感じて、自分に足りないスキルを学び、新しい挑戦をするという、いいサイクルで続けてこれたかと思います。

やりたいことがなくても行動するってことが一番大事かな。一生懸命目の前の課題に取り組んでいる中で、身近に違和感を感じたり、些細なきっかけから気づいたり、そうやって見つけていくのだと思います。
まずは動く。そういった勇気がビジョンになり、仲間を引きつけ、大きな挑戦に変わったり、大きな渦になっていく。自分でスタートすることに意義はあると思うので、ぜひ大きなインパクトを生み出せるように頑張っていただきたいと思います。

 

インタビューを終えて


(安形)
私はこのインタビューが今回初めてだったので緊張していましたが、自分自身の生活と重ねて聞けるような話が多くて勉強になりました。起業する方は学生時代からビジネスプランが決まっているイメージだったので、そうではなく、行動していく中からやりたいことをみつけていくという言葉にすごく惹かれました。私自身も普段の日常生活から自分にできることなど、違和感を探しながら学生生活を送っていきたいと思いました。

(衣笠)
警備業界について詳しくなかったのですが、秋山様の警備業界自体を変えようとしている姿勢がとても素晴らしいなと思いました。特に「文系AI」という言葉がとても印象的でした。私も文系なので、AIが自分に深く関わりがあるとはあまり思っていなかったんですが、AIを社会にどう広めるかという視点の大切さを学びました。自分自身の生活にも汎用していきたいと思います。

以上、KB-eye株式会社 秋山様のインタビューでした。 次回もお楽しみに!

この記事は私達が担当しました

  

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