クリエイターの創造性を解放する|Tooon株式会社 杉山 裕磨様 インタビュー

こんにちは!運営の泉田です。

今回の経営者インタビューはTooon株式会社代表の杉山 裕磨様です。
フリーランス向け業務支援ツールの開発で、クリエイターの創造性を解放する「Tooon」。代表の杉山様自身の学生時代の事や考え方がたっぷり詰まった記事です。就活生へのメッセージや採用側の目線も入っています!

ぜひご一読ください。

 

会社概要


会社名   Tooon株式会社
代表    杉山 裕磨
住所    熊本県熊本市中央区安政町4-14 ビルクラシコ熊本
資本金   1億4,000万円(資本準備金を含む)
設立年月  2018年8月21日
事業内容  アジャイル・ワークフォースSaaS『Tooon(トゥーン)』
URL    Tooon株式会社 



インタビュー


それではインタビュースタートです。

(横井)
ビズキャンプラスの学生に向け、Tooonの事業内容を教えて下さい。

(杉山様)
フリーランスや小規模なチーム(10人程度のチーム)を対象とした業務管理ツール「Tooon」を提供しています。このサービスには、プロジェクト管理機能や請求書作成、決済機能といった実務機能が含まれており、業務を効率的に進めるためのワンストップソリューションとなっています。

(横井)
事業を始めようと思ったきっかけを教えて下さい。

(杉山様)
私は、学生時代の2018年に初めての起業を果たしました。その後、いくつかの事業に取り組み、何度も試行錯誤を繰り返す中で、「クリエイターや人々の才能が社会に還元される環境を作りたい」と考えるようになりました。得意なことに集中できる環境を作りたい、逆に不得意なことがその人の才能を潰すようなことは絶対に避けたいという思いです。いろいろな事業を試みながら、この思いを形にできる方法を探し続け、最終的にこの事業にたどり着きました。

(横井)
学生の時に起業しようと思ったきっかけを教えて下さい。

(杉山様)
大学3年生の終わりに休学を決断したことが、直接的なきっかけだと思います。少し遡ると、実は大学自体にあまり満足していなくて、偏差値が高くないことや、周りの先輩たちの就職先も魅力的に感じられず、やりたくないことをやらされている感覚がずっとあって、何か違う道があるんじゃないかと感じていました。

 その中でフィリピンとイギリスへ2回の留学を経験し、英語力を身につけました。アルバイト先のスターバックスの店長から言われた言葉も非常に印象に残っていて、「私たちはお客さんの人生を彩ることで、その対価としてお金をいただいている。」その言葉を聞いて、自分もそういう意味のある仕事をしたいと思うようになり、もっと自分に合った人生を選びたいと思いました。

 そして、休学を決め、インターンとしてプログラミングスクールを運営するスタートアップで働き始めました。その中で、福岡と東京を拠点にするベンチャーキャピタルのFベンチャーズが主催していた学生向けのスタートアップイベント「登竜門」に参加することができ、そこで学生起業の支援をするイベントに参加したことがきっかけで、仲間たちと出会い、友達がみんな起業するというタイミングだったので、「あいつがやるんだったら俺もやってやるぜ!」という感じで、起業の第一歩を踏み出しました。

(横井)
事業を始めてからご自身に変化はありましたか?

(杉山様)
 事業を始めてから常に変化していると思います。もちろん、変化は常にあるものですが、今の事業に落ち着いてからは、以前のように大きなピボットはなく、同じ事業に約2年間挑戦し続けています。これまでは、事業自体を一度潰して全く違うアイデアに取り組むこともありましたが、今の事業に関しては取り組み続けることができています。

 そんな中で、私は自分が本当にやりたいことや、社会に対して提供したい価値、提案したい考え方を、できるだけシンプルにすることと明確にすることを大切にしています。また、お客様にどのように価値を提供できるのかを日々模索しながら、挑戦を続けています。

 変わらないこととして、私は「社会に対して提供したい価値や自分が信じる価値を見つけ、そこにチャレンジし続ける」ことです。一方で、日々得られる新たな情報や気づきを通して、自分の考え方やアプローチは少しずつ変化していると思います。

(横井)
Tooonのサービスを開始してからの手応えはいかがですか?

(杉山様)
 私たちが実現したいと考えていることが少しずつ形になってきていると感じています。サービスを導入してくださっている方々が、ご自身の本来の価値を発揮できる業務、例えばイラストレーターの方であればイラスト制作、デザイナーの方であればデザイン業務に集中できる環境を目標に進めています。また、ノンコア業務をどれだけ削減できるかに挑戦し続けています。

 現時点では、多少なりともその実現に近づいている部分はあると感じていますが、まだまだ足りない部分もあります。機能の充実やユーザー体験の向上、サービスのクオリティといった面で、さらなる改善と挑戦を続けていきます。

(横井)
過去のご自身の経験で今に活かせていることはありますか?

(杉山様)
 私のこれまでのすべての経験はすべて現在につながっています。特に印象的な学びをいくつか挙げると、最初に取り組んだ「音楽のSNS」です。私は音楽が大好きで、自分のやりたいことを優先しすぎた結果、ビジネスのことを全く考えずに進めてしまい結果として「ビジネスをちゃんと学ばなきゃ」という大きな挫折を経験しました。そこから、「ビジネスとして成立するためには、お客様が本当に欲しいと思うことを提供し、それに対する対価をいただく仕組み」を学び、以降はその視点を大切にするようになりました。

 その後、絵本のサブスクリプション事業にも挑戦しましたが、当時は「サブスク」や「D2C」など流行のビジネスモデルやイケてる言葉に飛びついてしまい、事業と私がその事業をする理由が微妙にずれていることに気づきました。エンタメやクリエイター向けの分野には強い関心がありましたが、一方で、子育てや教育分野は私の得意とする領域ではなく、自分に合わないことを無理に形にしようとしたことが間違いだったと感じています。

  現在の事業では「自分がやりたいこと」「自分の強みを活かせること」「私自身の価値を発揮し、社会に対して価値を提供できること」を大切にしています。さらに、「事業がボランティアではなくビジネスとしてしっかり成立していること」「お客様に価値を感じていただき対価をいただくこと」など、そのバランスがうまく機能するように設計することを今までの経験から大切にしています。

(横井)
この事業において大切にされていることや言葉などについて教えて下さい。

(杉山様)
私が大切にしている言葉は、事業のスローガンにも通ずる「創造的な仕事に集中しよう」です。学生時代を振り返ると、「こうしなければならない」というよりも、「こうした方がいいのかな」という考えの方が多かったと感じています。しかし、ビジネスの本質はシンプルで、「価値を提供し、その対価としてお金をいただく」というサイクルを回すことだと思います。それ以外のフレームワークや業務プロセスも重要ですが、それ自体を目的化してしまうと、タスクをこなすことに集中して本来の目的である価値提供を忘れてしまうことがあります。そのため、価値を生み出すこと、創造的な仕事に集中することを常にテーマとして持ち、なるべくシンプルで本質的な部分を忘れないように意識しています。

(横井)
長崎での起業から東京へ拠点を移されていますが、環境の変化を上手に捉える方法はありますか?

(杉山様)
正直に言えば、特別なコツはありません。私は長崎で活動を始め、福岡で会社を登記し、現在は熊本を拠点としていますが、東京、新潟、北海道、さらには海外にも出向いています。その際、私が意識していることとして、「地方や地元を盛り上げる」という目的を達成することです。地元にこもらず、必要な場所に積極的に移動して活動することを大切にしています。また、「熊本のスタートアップ」や「九州のスタートアップ」として、どこに行っても地元を代表している意識を持つことを心がけています。地域に愛着を持ちながらも地域にこもらないことは意識しています。

(横井)
ここからは学生目線でも質問をいくつかさせてください。私は今大学でフランス語を勉強中なのですが、語学を身につける上で大切にしていることを教えて下さい。

(杉山様)
 私自身、語学の勉強が得意でないという意識がありました。よく「発音や文法を気にしなくていい」という意見がありますが、私はむしろ「気にした方がいい」と考えています。TOEICやIELTS、TOEFLといった資格試験は必要に応じて取得すればよいと思いますが、語彙力、発音、文法は非常に重要だと思っています。その理由は、語学とは単に意思疎通の手段ではなく、相手に対するリスペクトの表現だと考えているからです。「伝わればいい」という考え方は、極端に言えば「意図が伝わるなら暴言でもいい」と同じだと思っています。そうではなく、自分の考えやイメージをできるだけ正確に伝え、相手の文化的背景に対して敬意を払う姿勢が大切だと思います。伝えることが難しい場合には、より適切な言い回しやジェスチャーなども活用しながら、相手に伝わりやすいコミュニケーションを心がけるべきだと考えています。

 これは、AIの活用にも同様に当てはまると思います。AIを使えば意思疎通ができますが、それでリスペクトの気持を伝えるのは難しいと考えています。友人を作る、ユーザーと信頼関係を築くといった場面では、できるだけ語彙力を高めることが大切だと思います。

(横井)
留学経験から語学以外で新たに学べたことはありますか。

(杉山様)
 大学1年生のときに1ヶ月間フィリピンへ、2年生のときに半年間イギリスへ行き、人生で初めて海外に行きました。その中で強く感じたのは「海外に行けば、自分は外国人であり、常識がないのは自分の方だ」ということです。例えば、日本では失礼とされる行為も、現地の文化では当たり前だったりします。その中で、自分の考えがいかに閉鎖的で凝り固まったものなのかと感じました。

 実際に彼らと関わって分かったのは、どの国にも常識的な人もいれば、そうでない人もいる。分かり合える人もいれば分かり合えない人もいる。日本人でも個々に違いがあるように、中国人や韓国人も同じです。そのため、「国籍」でレッテルを貼るのではなく一人一人を見ることが大切だと思います。

 事業運営においても、「学生の女の子はこうだ」や「フリーランスはこうだ」と決めつけたりユーザーを一括りにせず、一人一人の考えや行動を深く理解することを大切にしています。「上司はこう」や「若者はこう」と考えるのではなく、一人一人と対話しながら信頼関係を築くことは、結果的にみんなの幸せにつながるのではないかと考えています。

(横井)
学生時代に取り組んで良かったこと、また、学生に今やって欲しいことはありますか。

(杉山様)
 「今できること」をできるだけやることが大切だと思います。私自身が大事にしているのは、知識だけでなく「経験すること」です。一般的に、人は他の方からの話を聞いて「知ったつもり」になってしまいがちだなと思います。それをどれだけ壊すことができるかが大事だとと考えています。実際に自分が体験し、どう感じたのかを知ることです。そのため、学生に限らず、留学や海外旅行、自分が普段関わらないコミュニティに飛び込んでみるなど、積極的に挑戦をしてほしいと思います。

 理由としては、世間では「若いから何でもできる」と言われがちですが、私はそうは考えていなくて、人それぞれできることには限りがあり、身長や性別、性格など、変えられないものも多くあると思います。しかし、自分に何が向いているのか、何に喜びや違和感を覚えるのかを知るためには、実際に行動し経験を積まないと自分自身を理解できません。単に「経営学部だから経営者になりたい」といった表面的な考えではなく、経験を通じて自分はこういう人間だと深く理解することが重要だと考えています。

 知識をひけらかす人よりも、経験を通じて「自分はこう思う」と言える人間の方が魅力的であり、私もそうなりたいと考えています。同じように考える人がいるなら、できるだけ多くのことに挑戦し、自分の価値観を探ることがカギだと思います。経験を重ねることで、自分がどんな仕事をしたいのか、どのような人生を送りたいのかが見えてきます。

 分からないことがあれば、さらに挑戦したり、考え続けたりすることが大切です。私自身、今もまだ知らない自分がたくさんいますし、人生の中で変化し続ける自分がいるので、それに追いつくために、新しい経験を積むことを意識しています。

(横井)
このインタビュー記事を就活生も沢山目にすると思うのですが、学生のどのような所に注目して採用していますか。

(杉山様)
「どのような考えを持っているのか」「自分自身を見つめる力があるのか」「リスペクトをちゃんと相手に払えるか」に特に注目しています。知識をただ持っている人というよりも、「私はこう思う」や「僕ならこうできる」、「一般的にはその可能性は1%しかないが、その1%ができる可能性を100%にできるのが私だといった特徴を持っている人」は非常に魅力的だと思います。たくさん経験して自分の意見や考えを持ち、自分の扱い方を探求している人を採用したいです。

(横井)
今将来に悩む学生へアドバイスをお願いします。

(杉山様)
「いっぱい経験して、いっぱい考えてほしい」というのが、私が最も伝えたいことです。どんなに先生や友達、先輩がいても、あなたの人生はあなただけのものであり、あなたの代わりは誰もいません。そして、その「代わりがいない部分」を見つけるのは、あなた自身です。

  たくさん経験し、考え、泣いて、笑って、怒って――そういった感情を通じて生まれた「やりたい」という気持ちこそが、本当に自分の望むことだと思います。人の話をどれだけ聞いても、分からないことも多く、実際に行動しなければ気づけないこともたくさんあります。旅をしてみたり、起業してみたり、あるいは小さなプロジェクトを立ち上げてみるなど、自分なりに挑戦してみることが大切です。もしやり方が分からなければ、いつでも相談してください。経験を積むことで、きっと道が開けていくと思います。

 

インタビューを終えて


(横井)
 杉山さんがおっしゃっていた「経験することの大切さ」に共感し、私自身もこれからの学生生活で多くの経験を積みたいと改めて感じました。普段から長期休みには旅行をすることが多いのですが、海外へ行く機会はあまりありませんでした。まだ大学2年生なので、3年生・4年生の間にさまざまな国を訪れ、より多くの経験に時間を費やしていきたいと思っています。

 また、私も現在スターバックスで働いていて、ここで多くの知識や経験を得ることができており、自身の成長につながっていると思います。これからもスターバックスでの経験を大切にし、さらに成長していきたいと考えています。

以上、Tooon株式会社 杉山様のインタビューでした!

次回もお楽しみに~

この記事は私達が担当しました

  

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