
こんにちは!ビズキャンプラス運営の畠中です。 今回は、株式会社BANKEY 代表取締役 阪本 善彦様へインタビューさせていただきました。
従来の金融機関では十分にサービスが届かなかった層にもアプローチし、個人と社会の可能性を広げるサービスを展開する株式会社BANKEY。
今回のインタビューでは、事業内容や起業に至った経緯、銀行業界の課題、そして学生へのメッセージまで、多岐にわたる貴重なお話をお届けします!
「フィンテック」「金融DX」「起業」「インフラ」などに興味のある方、必見です!
会社概要
会社名:株式会社BANKEY
代表:阪本 善彦
所在地:東京都千代田区西神田2丁目1−8ー12F VORT神保町Ⅲ
設立年月:2023年9月1日
事業内容:「PaybyBank」の開発・運営
URL:https://bankey.jp/
インタビュー
(畠中)
まず、事業内容を教えてください。
(阪本さん)
突然ですが、畠中さんはお金を振り込んだことってありますか?
(畠中)
あまりないですが、自動車学校の授業料は振込でした。
(阪本さん)
銀行振込って結構めんどくさいですよね。日本では、個人から企業への振込が年間で約80兆円・20億件以上あると言われています。受け取る企業側も大変で、例えば100人規模の塾なら、毎月100件のカタカナ名表記の振込記録を確認して「誰が払ったか」を照合する「消し込み作業」に、月170時間程度かけているんです。
実は海外だと、振込と同時に「誰がいくら払ったか」という情報が自動でデータに紐づく仕組みがあります。でも日本ではそれが整備されていない。
そこで私たちは、銀行と企業・ユーザーの間にシステムを挟むことで、振込と支払い情報をデータで自動連携するサービスを開発しています。支払側はボタン1つで完結し、受取側も照合作業が不要になります。

(畠中)
やはり銀行的にも間にレイヤーが1枚あると安心なのでしょうか。

(阪本さん)
そうですね。我々が一つのガードになるので不正なアクセスをシャットアウトできます。
銀行はAIをあまり活用できていないですが、我々はAIを活用してブロックをかけるので、銀行にはそこをアピールしています。
(畠中)
従来の銀行振込やクレジットカード決済と比べた強みはなんでしょうか。
(阪本さん)
クレジットカードはポイントが貯まり支払側には嬉しいですが、そのコストは受取側が負担しています。3万円の決済なら約1,000円、300万円なら約10万円が手数料として引かれます。一方、銀行振込は金額に関わらず手数料が一定で、私たちのサービスは一律200円台。300万円の決済でも200円台です。
もう一つ、クレジットカードも通常の振込も企業への入金は翌月になります。私たちのサービスでは入金が翌日です。急な支出や資金繰りに困る企業にとって、これは大きなメリットになります。
(畠中)
起業を志したきっかけは何だったのでしょうか。
(阪本さん)
前職の銀行で新規事業を担当していた時、海外では私たちが開発しているような仕組みがすでに当たり前になっていることを知りました。そして、自分はその普及を妨げている銀行側にいると気づいてしまったんです。
10年・20年のスパンで見れば、日本も海外と同じデータ駆動社会に変わっていくはずです。ところが日本の銀行業界はなかなか動かない。それは、海外と日本の銀行の内情を両方知っている人が少ないからだと思っています。私はその手触りを確認できたので、この領域で勝てる可能性が高いと確信して起業しました。
(畠中)
起業してから最も苦労したことは何でしょうか。
(阪本さん)
前職では大きな銀行の経営企画という立場で、企業の看板を使って会社と接点を持つことができていました。 大企業には歴史と信頼があるので、入り口のハードルがすごく低い。
でも、起業すると看板はなくなります。自分の腕一つ、アイデア一つで勝負しなければならない。最初に「話を聞いてもらうこと」ですら苦労しました。
ただ、アイデアが面白ければ突破できる。突破できないときはアイデアが面白くないからだというモットーで何とか乗り切りました。
(畠中)
そういった困難に当たった際のリフレッシュ方法はありますか。
(阪本さん)
家族と過ごすことでリフレッシュすることはあります。
ただ、仕事の悩みは仕事でしか解決できないとも思っていて、2回でダメなら3回目、3回ダメなら4回目と、できるまで粘り強くやります。
うちの会社のカルチャーは「なんとかなる」ではなく「なんとかする」。待っていても物事は動きませんし、小人が靴を作ってくれるわけでもない。だから自分たちで動いて、できるまでやり切るようにします。
(畠中)
会社として意識されている組織作りはなんでしょうか。
(阪本さん)
難しい問いですね。現在、私たちはかなり少人数で事業を運営しています。
事業構造上、いかにコストを抑えるかが重要なので、できるだけ固定費を大きく持たないという大きな方針と、その中でAIをどれだけ活用できるかを自社で実験しているためです。
ただ、人間は3人以上集まると少しずつ方向がずれ始めるものなんですよね。なので、できるだけ遠くの、できるだけはっきりしたものをみんなで見る。
経営の北極星が何なのかをチームでしっかり共有することを意識しています。
(畠中)
学生時代に取り組まれていたことはありますか。
(阪本さん)
実は、学生時代はかなり苦労していました。大学進学から3か月後に親からの仕送りが打ち切られてしまって、留年はできないし生活費も稼がなければならない。そんな中で学習塾の講師アルバイトをしながら学生生活を送っていました。
ただ、塾講師の仕事を通して得たものは大きかったですね。
単にお金を稼ぐためではなく、自分なりの必勝法を見つけては試して、ダメだったらやり直して、という試行錯誤の高速サイクルが、今の仕事スタイルの原点だと思っています。
当時は周囲がほぼプロ講師でしたが、毎年1年を通して自分が一番生徒を集めていました。負けず嫌いで、 勝つために知恵をひたすら絞るということに全力を注いでいました。
(畠中)
今後の事業の展望について教えてください。
(阪本さん)
まずは、我々の決済の仕組みをより多くの銀行や企業に広げていくことが目下の課題です。
その上で、世の中のビジネスには「ストック型」と「フロー型」の2種類しかないということをすごく意識しています。今取り組んでいる事業は、一度導入されると継続的に収益が積み上がる、いわゆるストック型のモデルです。
ただ、さらに大きな事業へ発展させようと考えたとき、金融の世界では単なる決済だけでなく、「お金を貸す」「お金を預かる」といったファイナンス領域に踏み込まなければ、スケールには限界があるとも感じています。
なので今後は、融資や預かりといった金融機能を含むストックビジネスへ展開していきたいと考えています。
一方で、この領域は銀行をはじめとした大企業が強い世界です。そこにスタートアップとしてどう挑んでいくかは、大きな課題です。
(畠中)
阪本さんが実現していきたい社会とはなんでしょうか。

(阪本さん)
銀行員時代から一貫して、もっと一人一人が主人公になれる社会を作りたいと思っています。大げさに聞こえるかもしれませんが、要するに自分でコントロールできるものを増やしていくということです。例えば、インターネットバンキングにログインするたびに、銀行側が決めた「お客様番号」の入力を求められる。
国がマイナンバーを付与するのは分かるんです。でも、なぜ民間企業まで同じことをやってしまうのか。
銀行口座を3つ持てば番号も3つあって、しかも覚えづらい。
こうした「提供者側の都合による押し付け型の仕組み」が、デジタル化の妨げになっている。特にID設計は、その象徴的な課題です。
私が目指しているのは、どの銀行からでも同じログインで使えて、「お金を払う主体は銀行ではなく、あくまでユーザー本人である」という発想に基づいた金融体験です。
コントローラブルな形にできれば、デジタルはもっと便利で身近なものになる。インターネットバンキングに対して「怖い」「よく分からない」と感じる人も減らせるはずです。
金融が面倒な壁になるのではなく、人をもっとエンパワーする存在になる。BANKEYという会社を通じてそういう社会を実現していきたいと思っています。
(畠中)
BANKEYの事業が広がった時、既存の金融機関にどんな影響があるでしょうか。
(阪本さん)
実は、既存の金融機関にとっても、私たちと組むメリットは大きいんです。
クレジットカードで何回買い物をしても、銀行口座から引き落とされるのは月末の1回です。一方で、BANKEYの仕組みは、決済の都度、銀行側にも手数料収入が発生します。つまり、銀行の収益機会も増えるんです。
さらに重要なのは、私たちは銀行間で資金を動かす仕組みなので、銀行業界全体で見ると、預金を口座内に維持できます。
銀行にとって、預金がプールされている状態は非常に重要で、現金化されて銀行の外に出てしまうと運用ができず、収益にもつながりにくくなります。
我々はお客様を銀行側に残しつつ、もっと使いやすくしようという考えです。ただ、銀行ごとにバラバラな仕組みでは困るので、私たちが間に入り、各銀行を束ねながら、より滑らかな金融体験を作っていきます。
(畠中)
最後に、将来に悩む学生に向けてメッセージをお願いします。
(阪本さん)
私がもし今学生に戻れるとしたら、やっておきたいことは2つあります。
1つ目は、お金を貯めて海外に行くことです。いわゆる観光地ではなく、その国の生活に近い場所がいいと思います。バルト三国のような地域はおすすめです。
海外を知れば知るほど、日本の良さも見えてくるんです。私は日本が大好きですが、「もっと日本を良くしたい」という思いが強くなりました。
一度、外の空気を吸ってみてほしい。その経験を持ち帰って、「もっと日本を盛り上げよう」と思える人が増えたらいいなと思っています。
2つ目は、友達をつくることです。社会人になると、同僚や同期はできますが、仕事の利害関係なしに付き合える友人はなかなか増えません。
40歳を過ぎると、「自分の結婚式や葬式に誰が来てくれるだろう」と考える瞬間があるんです。そういうときに思い浮かぶ友人を、学生時代にちゃんと作っておくことは大事だと思います。時間を共有できる学生時代だからこそ、人とのつながりを大切にしてほしいですね。

人生は1回しかありません。時間のある今だからこそ、自分が本当にやりたいこと、自分にしかできないこと、実現したいことは何なのかをじっくり考えてほしいです。直感よりも「自分がこうしたい」という意思を大切に、そこに向かって取り組んでいくことが、一番大事なんじゃないかなと思います。
インタビューを終えて
(畠中)
これまでAIやアグリテックなど、テクノロジー活用企業のインタビューが多かった中で、今回はフィンテックという普段あまり関わらない分野のお話が聞けて、とても新鮮で刺激を受けました。
僕も3年生4年生となって、みんな自分のことをする機会が増えてきて、あまり友達と会う機会も作れていないなと思い返しました。学生のうちに友達ともっと時間を共有しようと、改めて思わされたインタビューでした。
阪本さん、貴重なお話をありがとうございました!
以上、株式会社BANKEY代表、阪本様へのインタビューでした。次回もお楽しみに!
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