観光業界には娯楽・レジャー業、旅行代理店、宿泊施設、運輸業、飲食業、製造業と幅広くありますが、今回はその中でも、コロナ禍の中で特に打撃が大きいと考えられる旅行代理店と宿泊施設に焦点をあてて、withコロナ時代の観光業界の行方をまとめました。
さらに、学生からみた観光業界への印象についてビズキャンプラスの学生キャスターを中心に調査したアンケート結果も用いて、これからの観光業がどうなるかを考えたいと思います。
もくじ
1.観光業界の今
2.学生が抱く観光業界への印象(アンケート結果)
3. アフターコロナの観光業界
1.観光業界の今
9月に発表された日本政府観光局の統計によると、2020年8月の訪日外国客数は8700人で前年同月比99.7%減となり、11ヶ月連続で前年同月を下回る結果となっています。
今年の1月に日本で最初の感染者が出てから早10ヶ月。ゴールデンウィークや夏休みなど大型連休での国内外の観光需要は壊滅的となりました。
また、2020年東京オリンピックが延期されたことでのインバウンドの打撃は大きく、2021年の東京オリンピックに向けて、海外からの集客の方策について議論が多くなされている状況です。
一方で新型コロナウイルスの影響の前である昨年から、「インバウンド消費」(注1)の頭打ちや「オーバーツーリズム」(注2)の問題も指摘されていました。
注1・・・訪日外国人観光客による日本国内での消費額
注2・・・観光客の増加により、地域住民の生活や自然環境、景観などに負の影響をもたらすこと
瀬戸際に立たされた観光業界は今後どうなっていくのでしょうか。
2.学生が抱く観光業界への印象
コロナ禍での影響もあるなか、学生は観光業界にどのような印象を抱いているのかをビズキャンプラスに参加している学生を中心にアンケート調査を行いました。(調査期間:10月25日(日)〜11月8日(日)/有効回答数:34件)
観光業界の印象を問う最後の質問では、現状を学生がどのように捉えているのかが見えてきました。結果は以下のようになります。
【問1.観光業界の中で一番に思い浮かべる業種はどれですか?】
まず、観光業界にはどんな業種があるのかについて知ってもらうとともに、一番馴染みのある業種を一つ選択してもらいました。
大学生にとっては、旅行代理店(41.2%)、宿泊施設と娯楽・レジャー業(26.5%)が馴染み深いといった結果となりました。
【問2.あなたが志望する業種の中に、問1で出てきた業種はありますか?】
問2で「ある」「あるに近い」を選んだのは、34名中4名でした。
その4名のうち、旅行代理店を志望している学生は2名、宿泊業を志望している学生は1名。そして、運送業の一種である航空業を志望している学生が1名という内訳になりました。
また、「ない」「ないに近い」の回答は25件に上りました。
「ない」「ないに近い」を選択した25名の学生に、どうして観光業界を志望していないのか尋ねたところ、
・ホテル業界で、新型コロナウイルスの影響による景気が悪化から解雇された社員さんのお話を聞いた。景気に左右されやすい職業だと感じたから志望をやめた。
・新型コロナウイルスによる影響を大きく受けているため。
・JAL、ANAなどの航空業界をメインに就活していたが、採用中止となったので、新たな業界を考え始めた。
といった新型コロナウイルスの影響によって志望をやめたといった意見もありました。
【問3.コロナ禍で、旅行代理店や宿泊施設をはじめとする観光業界に対してどのような印象を持ちますか?】
問3.は記述式の問題となります。
34件の回答のうち、いくつか紹介したいと思います。
・観光業界は一生困ることがないだろうと思っていたと、今の状況に驚きを感じている
・現在、大打撃を受けていることから景気の波に左右されやすい不安定な業界という印象を持っている。
・世界の平和が保たれている状況下でのみ繁栄する業界だと思った。・感染対策と経営復興との板挟みで複雑な心情を持っているだろうな。大変そう・・・。
・コロナ収束後も勢いが戻らないのでは・・・・『Go To』など様々なキャンペーンを使用して頑張っているし、私自身、そういった活性させるためのイベントには参加していきたい。
・観光業界の勢いが戻るためには、様々な変革やプラン、観光客だけでなく地元の間で盛り上げられる取り組みが必要だと思う。
このようにマイナスなイメージが多く、日本の観光業界や政府の取り組みを見直すべきだという考えがほのめかされた回答が多く集まりました。
一方で、『Go Toキャンペーン』をポジティブに捉える声や、今後の観光業復興を考えた前向きな提案を求める意見も挙がりました。
3.withコロナ時代の観光業界の行方
観光業界は今、生き残る術を模索しています。
様々な対策が行われている中、今後『オンライン旅行』が注目されていくのではないでしょうか。
オンライン旅行は、VRを通してリアルな観光を体感することができます。
実際に旅行するのに比べて安価で、時間や治安なども気にせず好きな場所へ行ける点が魅力です。
オンライン旅行サービスがより充実すれば、旅行の幅が広がり面白くなると期待しています。
例えば、現地でしか見つけることができないようなお土産もオンライン旅行で実際に購入できるようになり、それが家に届くといったサービスが始まったら嬉しいですよね。
株式会社星野リゾート 代表取締役社長の星野さんは、観光産業オンラインニュースメディア『トラベルボイス』でこのようなお話をされていました。
「特殊なニーズを捉えることがこれから打ち出す新プランにおいて重要なポイント」だと。
withコロナで登場した、旅をしながらのリモートワークやオンライン観光などが観光業界に新しい風が吹かせ、観光需要が再び高まることを願っています。
COMMENT