今回は、株式会社コンシェルジュ 代表取締役CEOの太田匠吾 様にインタビューさせていただきました。
株式会社コンシェルジュは、コロナ禍でますます注目を浴びているチャットボットサービスを運営しています。
チャットボットができること、そして今後の可能性などワクワクするお話や起業を考える学生に向けてのメッセージをいただきました!
(※新型コロナウイルス感染症対策を講じ、オンラインでのインタビューとなっています。)
会社概要(※2022年4月時点 HPより)
社名:株式会社コンシェルジュ
設立:2016年
代表:太田 匠吾 様
事業内容 : ノーコード対話AIプラットフォーム『kuzen』の開発、販売、運用
所在地:東京都千代田区神田三崎町3-8-5 千代田JEBL 6F
URL : https://www.kuzen.io
Email : info@conciergeu.com
インタビューはここからです
(太田)
はじめに、事業内容について教えてください。
(太田社長)
ノーコード対話AIプラットフォーム『kuzen』の開発と販売を行っています。
最近は、身の回りにお掃除ロボットや食洗機などの様々なロボットがいますが、私たちはコミュニケーションを自動化できる「チャットボット」を扱っています。その中でも単純な仕組みによる会話ではなく、より高度なアルゴリズムによる仕組みを提供しています。
一般的な自動で質問応答ができるチャットボットは、クエスチョンとアンサーのデータをあらかじめ登録しておき、そのデータを元に会話するものが多いです。
しかし『kuzen』では、質問を受けたときに裏側のデータベースから情報を入手し、外部のシステムに接続するなど、複雑な会話フローを細かく構築することができます。
例えば「旅行の予約をしたい」とチャットに伝えると、チャット上で外部の旅行予約サイトに繋がり、その場での予約が可能になるなど、会話を通して様々な業務を遂行できるようになります。
外部システムへの接続は裏側でたくさんのシステムを動かすため、大変なシステム提供が必要となりますが、そういった高度な仕組みを作ることで誰もが簡単に利用できるサービスを目指しています。
(近重)
起業する際に、チャットボットに着目された理由は何でしょうか?
(太田社長)
私たちがサービスを運営開始したのは2016年なのですが、ちょうどその頃LINEなどのチャットツールが自動化できるような仕組みが整い始めました。
それまでは規制されていてロボットによる自動化はできない状況だったのですが、ようやく2016年ごろにAPIが開放されロボット開発が進んだのです。
そのようなタイミングも後押しとなり、「チャットボットサービスを広めたい」という想いで事業をスタートさせました。
(新飯田)
『kuzen』ならではの特徴や魅力を教えてください。
(太田社長)
『kuzen』は、ノーコード対話AIプラットフォームという名の通り、非エンジニアやノンプログラマーの方でもコードを書くことなく複雑なフローを構築・運用できることが大きなポイントとなっています。
これまではベンダーに依頼していたことをユーザー自ら、素早く変更・追加の作業をすることができます。
消費者のニーズは移り変わりが早いので、事業者側もスピード感が大事になってきます。みなさんも新しくてより便利なものを使いたいと思いますよね?ユーザーは「新しくて便利なサービスを利用したい」というニーズを持つので、事業者側としても、いかにユーザー目線でサービスを提供できるかが企業の競争力に直結してきます。
従来のシステム開発のように、ベンダーに依頼して、対応してもらい、できたものを確認するという手順ではどうしても時間が掛かってしまうため、私たちはスピーディー且つ簡単に変更していただける仕組みを提供するべく、その裏側の仕組みのアップデートに日々注力しています。
(川村)
『kuzen』にはデータ分析や自然言語処理など多数の機能が搭載されていますが、今後搭載予定の、または搭載したいと考えている機能はありますか?
(太田社長)
私たちのサービスは、「サース(Software as a Service)」と呼ばれるインターネットを経由してソフトウェア自体を利用するものになります。
システムがアップデートされていくことでユーザーにメリットを感じていただくといったビジネスモデルを展開しており、ユーザーの方に満足いただくために、より素早くシステム機能を拡張していきたいと考えています。
特に、今後はセキュリティの面をより強化していきたいと思っています。
例えば、先ほどもお伝えした外部システムと連携する仕組みだと、ユーザーのデータを外部に受け渡すことになりますよね。その際、ユーザーのデータが目的以外の場所に勝手に送られるようなことは絶対にあってはなりません。
「このデータをここに送っても大丈夫か」と、間違いなく判断する必要があります。安全性と利便性の面をお客様に満足していただくためにも、システム機能をもっともっとアップデートしていきたいです。
(太田)
コロナ禍でチャットボットの需要が更に高まったと思います。企業からはどのような相談を受けることが増えましたか?
(太田社長)
「デジタル化を進めていくには、どうしたらいいのか」といった悩みや相談を受けることが多くなりました。
ビフォーコロナでは、チャットの利便性に気づいていながらもメールや電話でのやりとり、そして対面でお話することが優先されていました。
しかしコロナ禍では、対面で話すことが思うようにできなくなりましたよね。そして従来のようにメールや電話のみで対応するのも難しくなってきました。
そのような状況下で、新たにチャットボットを選択肢として考えてくださる方が増えたように感じます。
(新飯田)
太田社長は大学院を修了されていると伺いました。大学院時代から自然言語処理の研究に取り組まれていたのでしょうか。
(太田社長)
自然言語処理のプロフェッショナルですと言いたいところなのですが。(笑)
私自身は農学部で生命科学系の研究をしていました。
もしそのままのルートで社会人になっていたなら、化粧品やビールの開発、製薬企業の研究職などに就いていたと思います。ただ、元々起業したいという想いがあり、ビジネスサイドに近いキャリアを選びました。
だからこの事業を始めようと考えたときは、自然言語処理について何もわからなかったので独学で一から勉強を始めたんです。
放送大学で授業を聞いて、テキストを読み漁って理解を深めていきました。
(川村)
大学時代は今のキャリアと異なることを学ばれていたとのことですが、当時学んだことが今に活きていると感じることはありますか?
(太田社長)
こじつけになってしまうかもしれませんが(笑)研究室でずっと研究をしていたので論理的思考が身についたと思います。
仮説を立てて、検証して、筋道を持たせるといった考え方は仕事をするうえで役立っています。
また、「成功するぞ」と思う気持ちの大切さを研究を通して学びました。
実験していたとき、「これ、うまくいかないかも」と思うときは大抵失敗するんですよね・・・。これにはちゃんと理由があって、そう思ってしまうときは何らかのミスをしているんです。例えば、試薬を3杯入れないといけないのに2杯になっていたとか、10mℓ必要なところ8mℓしか使っていなかったとか。
でも「絶対に成功する」と思っているときは、そういった小さなミスをしないんですよ。
真剣勝負での心の持ちようは大切だと感じました。最後はやる気が重要になってくると思います。
(近重)
起業したいと考えている学生に向けて、アドバイスやメッセージをお願いします。
(太田社長)
まずは挑戦することが大事だと思います。
今は起業の生態系も整っていて、昔のような「死ぬか生きるか」のような環境下ではないのでチャレンジしてみるのが一番だと思います。
仮に失敗したとしても立ち直れないような時代ではないので、思う存分チャレンジしてみてください!
(川村)
『kuzen』やチャットボットを通じて、どのような社会にしていきたいと考えていますか?
(太田社長)
チャット上での仕事の完結、簡略化を図れるようにしていきたいです。
例えば、働いていると経費精算や出張時の宿泊施設の予約などの細かなタスクが多岐にわたって存在します。それらの業務を行うとき、たくさんのツールやサイトの中から選んで起動させるといった手間がいちいち掛かってしまうんですよね。
しかし、そのような業務をロボットに任せられるようになったら、チャットで「経費精算」と伝えれば「経費精算ですね、レシートを写真に撮ってください」と言われ、撮った写真が経費精算とシステムとつながり、チャット上で仕事が完結することも可能になります。
このようなシステムを実現させるにはまだまだ裏側の仕組みをアップデートしていく必要がありますが、いずれコンシェルジュのようなチャットサービスを運営し、世の中の人に利便性を提供できたらと思っています。
(学生キャスター一同)
太田社長、ありがとうございました!!
インタビューの感想
(太田)
AIやロボットの話は難しそうな印象を抱いていましたが、今の社会には必要不可欠な存在だと実感しました。今までなら、チャットで問い合わせをすると答えてほしい内容が返ってこなかったり簡単な質問しかできなかったりするイメージでしたが、kuzenの特徴である外部シス テムとの連携は非常に画期的だと思いました。これからのチャットボットはどんなことが出来るようになるのか、とても楽しみです。
(川村)
とても貴重なお話を伺うことができて大変勉強になりました。
特に、今の社会においてやるべき事は無限にあるということや、自分の興味のある分野について常にアンテナを張っておくということなどは、自分のこれからの人生においてもっと心がけていくべきことだと感じました。
(近重)
スタートアップ企業が勝ち抜く要素として、太田社長はタイミングが重要になるとおっしゃっていました。太田社長がチャットボットに着目し事業を進めたきっかけの一つにタイミングがあるように、私自身何か新しいことを始める際の指標にしたいと思いました。
(新飯田)
「目標設定から全ては始まる!」という太田社長の言葉が胸に響きました。起業を見据えてキャリアを歩まれてきた太田社長は、学生時代から「一度きりの人生、いつかは自分でビジネスをやってみたい」と考えられていたそうです。日々を何となく生きるのではなく、常に目標を持って挑戦し続けられる人が、何かを成し遂げられるのだと思いました。
今回お話を伺って身が引き締まりました。私も大きな目標に向かって走り続けたいです。
COMMENT