大手総合PR会社を退職し、フリーランスの道へ|Webデザイナー 八戸 様インタビュー

今回は、フリーランスのWebデザイナーとして活動されている八戸 桃 様にインタビューさせていただきました。

・大手総合PR会社からフリーランスのWebデザイナーになった経緯
・フリーランスとして仕事をするうえで大切にしていること
・前職、PR会社でのメディアプロモーター業務について

など、貴重なお話を伺ってきました!
フリーランスの働き方について知りたい、広報・PRに興味がある学生さんは必見です!
(※新型コロナウイルス感染症対策を講じ、オンラインでのインタビューとなっています。)


八戸 桃 様 プロフィール(※2021年 2月時点 HPより)

1993年、宮城県生まれ、埼玉県育ち、東京在住。
立教大学を卒業後、大手総合PR会社に就職。メディアプロモーターとして、幅広い規模・業種のPRに携わり、社会人4年目を目前としたタイミングで退職。
その後、「空間デザイン」「インテリアコーディネート」「Webデザイン」などのスキルを習得し、2020年10月より本格的にフリーランスのWebデザイナーとして活動を始める。

屋号:design88
サービス内容:ウェブサイト制作、DTP制作(紙もの)など
ホームページ:https://design88.jp/
Instagramはこちら


インタビューはここから

(山本)
はじめに、八戸さんはWebデザイナーとして、design88でどのようなお仕事をされていますか?

(八戸さん)
主にホームページなどのウェブサイト制作を行っています。たまに企業様の案件にも携わらせていただいていますが、基本的には個店オーナー様や個人事業主の方向けのものが多いです。そのほか、お店のパンフレットやポイントカード、店内のポップなどの紙もののデザインも行います。最近はディレクションにも挑戦していきたいと思っていて、ウェブディレクターさんのアシスタント業務も始めました。



(今田)
新卒で入社したときから、将来的にフリーランスになることや転職することを考えていましたか?

(八戸さん)
全く考えていませんでした!でも、「今の時代、ずっと同じ会社にいることはないんだろうな」とは、何となく感じていました。なので、会社のネームバリューを活用して出会うことのできる社外の仕事相手に、「会社の名前ではなく、『八戸さん』という個人の名前で覚えてもらおう」ということを意識していました。

前職のPR会社では、クライアントさんの情報を掲載してもらえるように、メディアさんにアプローチしていくプロモーターの仕事を行いました。仕事の話だけではなくプライベートの話も交えながら、お互い気さくになんでも話せる関係性になれるように心掛けていました。そのおかげか、前職を辞めて2年以上経ちますが、昔やりとりをしていたメディアの方とは今でも連絡を取り合えています。

(奥井)
会社員からフリーランスになるまでの流れと、フリーランスに転身されたきっかけを教えてください。
また、退職時の心境や上司の反応などはいかがでしたか・・・?

(八戸さん)
ざっくりとした流れでは、会社員時代が3年間、退職後の第一次勉強期が1年間、第二次勉強期が半年、そして現在に至ります。

会社員時代のピークは、プロモーターのお仕事をしていたときに社内で1位になれた時でした。でもその数ヶ月後に、新卒の頃からお世話になっていた上司が退職してしまって・・・。後から考えると、このことが退職を考えることに起因していたかもしれないなと思っています。鬼のように厳しい上司でしたが、とても仕事ができる方で「その人の右腕になりたい!」という思いで業務に励んでいたんです。
当時の私の原動力としてその上司の存在がとても大きかったので、その上司が退職してからというもの、お恥ずかしながら気持ちのコントロールができず、仕事に対してのモチベーションも下がっていきました。

そのような環境下で、「この先もPRをずっとやっていきたいんだっけ?」「自分はどんな仕事・働き方を本当はしていきたいんだろう?」と悩むことが多くなり、一度ゆっくり自分と向き合う時間がほしいと思い、転職ではなく退職を選びました。もちろん不安はありましたが、期待感や解放感のほうが大きかった気がします!退職を告げたときの上司の反応は、私が全く相談していなかったこともあり、とてもびっくりしていました。(笑)

その後、第1次勉強期では『東京デザインプレックス研究所』で空間デザインを学びました。元々、住宅や店舗、ホテルなどの内装が好きで、空間デザインに興味があったんです。「理系じゃないけど大丈夫かな・・・?」とも感じましたが、「せっかく自分と向き合うために退職したのだから、興味のあることは全部挑戦してみよう!」という気持ちで勉強を始めました。

インテリアコーディネーターの資格も取得し、そろそろ就活を考えようかなと思っていた矢先に、新型コロナウイルス感染症拡大の影響で緊急事態宣言が発令されました。行動が制限される中で、また何か新しいことに挑戦してみようと思い立ち、オンラインキャリアスクールでWebデサインを学び始めました。ここでの学びが第二次勉強期となります。

そしてこの期間に、未経験からフリーランスのWebデザイナーになった方と出会えたことが、フリーランスとして活動していく転機となりました。場所や時間にとらわれず、自分の好きなことを仕事にしている姿に「私もこうなりたい!」と感じ、その後も勉強を重ね、キャリアスクールの卒業課題に合格し、昨年の10月からフリーランスとしてWebデザインのお仕事をしています。

(石原)
会社員を経験せずに、フリーランスになることはアリだと思いますか?

(八戸さん)
学生で起業する人もいますし、いきなりフリーで活躍できる人もいると思います!でも、もし自分に子供がいたとして、そういった相談をされたとしたら「1回は会社員を経験したほうがいいと思うよ」とアドバイスすると思います。(笑)

会社は組織なので、組織として育っていくためにも、マズいことをすれば上司が叱責してくれます
一方、個人で働いていると、自分のことを叱ったり正したりできるのは自分しかいません。マズいことをしてしまったら、叱られるのではなく単純に次から仕事が来なくなるだけです。悪いケースだと、お客さんと揉めて訴訟などの大きな問題へと発展してしまうことだってあるかもしれません。

社会で働くルールやマナー、相手を気遣うための作法を教えてくれる人がいる環境に一度でも身を置いてみることは、いずれ一人で仕事をすることになったときにも役立つと思います。

また、会社に属しているほうが「お手本にできる人」を探しやすいと思います。フリーランスの身で教えを乞う場合、一般的にはお金を払います。同じ組織に属しているわけではないので、教える側に義理はないですよね。でも、同じ会社の先輩や上司であれば、多少恐いとしても(笑)タイミングを見計らえば教えてもらえると思います。

そのほか、「自分一人では獲れないような大きな案件を、会社のネームバリューを使って担当できた経験」には今でも感謝しています。決して自分の力と過信してはいけないですが、そういった大きな案件に携わったという経験が自分自身の自信や成功体験にも繋がっていくはずです。大きな経験値を得ることができたのは、会社員時代があったからこそだと思います。



(山本)
八戸さんが感じる、会社員としての働き⽅とフリーランスとしての働き⽅の違いを教えてください。

(八戸さん)
私自身、フリーランスになったことで変化したことは大きく3つあります。
・時間の流れ
・好きな人と仕事ができる
・他人軸から自分軸に考えが変わった

1つ目は、時間の流れフリーランスは定時に出社することがなく、体調や予定に合わせて臨機応変に働けます。そして、昼食の時間も取れます!(笑)会社員時代は、トイレに行くのさえできないような忙しい時もあって。朝から何も食べずに、気づいたら夕方になっていることもザラにありました。なので、お昼をしっかり食べられるようになったことは嬉しいです。(笑)

2つ目は、好きな人と仕事ができるようになったこと。会社員は苦手だと感じる社内の人とも関わらなければなりませんし、取引先も自分の意志では決められません。でも今は、好きな人と仕事ができます。逆に言えば、「一緒に仕事したい」と思ってもらえないといけない、ということでもありますけどね・・・。

3つ目は、他人軸から自分軸に考えが変わったこと。
お恥ずかしい話ですが、昔の私は東証一部上場の東京の中心にある企業に勤めることにステータスや安心感を持っていました。「人に良く思われたい」や「世間体が良い自分でいたい」という気持ちが根底にあったんだと思います。

でも現在は、「自分が心地よいと思う自分を見つけたい」と思っています。フリーランスで活躍している仲間と多く出会ったことで、誰かに決められた基準よりも自分らしい生き方を追究していくことに意味があると思えるようになりました。まだまだ変化している途中ですが、自分の気持ちや心の動きを大切にしながら成長していきたいです。

(羽生)
フリーランスとして仕事をする上で大切にしていることを教えてください。

(八戸さん)
仕事をするうえで大切にしていることは、3つあります。
・思いやりと想像力
・フラットに、シンプルに考えること
・誠実でいること

1つ目は、思いやりと想像力
これはWebデザイナーのお仕事に限らず、とても大事なことだと思っています。例えば、メール1通を送るにしても、誰かとコミュニケーションをとるにしても、資料を作成するにしても、「どうしたら伝わりやすくなるか」「今のタイミングで迷惑にならないか」「もっとプラスアルファになるようなことはできないか」など、相手のことを考えながら日々仕事をしています。

2つ目は、フラットに、シンプルに考えること。
仕事に夢中になればなるほど視野が狭くなってしまって、肝心の受け取る消費者の目線を忘れてしまうことがあったりするんですよね。
私はクライアントさんからお仕事をもらう立場でありながら、クライアントさんの先にいるお客様の中で1番厳しいお客さんの目線を忘れてはいけないな、と思っています。
そういった意味で、当事者目線だけでないフラットな目線や、そもそも何のためにやっているんだっけ?というシンプルな考え方を忘れないように心掛けています。

また、難題にぶち当たったときこそシンプルに考えることを意識しています。つい難しく考えてしまいがちですが、余計に頭の中がこんがらがってしまいますよね。
だから「フラットにシンプルに考えるぞ〜!」と自分に言い聞かせながら、1つ1つ分解して進んでいくようにしています。

そして3つ目は、誠実でいること。
そもそも嘘をつくのが苦手で、「誠実でいたほうが心地がよい」という考えが前提にあります。それに仕事は人と人との付き合いなので、信用できる誠実な人とお仕事したいと思っています。誰かとお仕事させていただくときも、誠実さは1番気になるところです。だからこそ、私自身も誠実でありたいと思っています。



(羽生)
案件を獲得するために意識していることはありますか?

(八戸さん)
新規のお客様へのアプローチの準備として、昨年の12月からお仕事用のインスタを開設しました!
投稿数はまだ少ないのですが、コンテンツ作りにはかなりこだわっています。投稿する画像は、統一感と世界観を持たせるため、9枚全体を見たときのビジュアルを大切にしています。

中身の部分は、私の「人となりや価値観」が伝わる要素を盛り込むことを意識しています。「どんな思考をしている人なのか」がわかる投稿だと、同じような思考や価値観を持った方が投稿を見に来てくれるようになると思うんです。そういった方と一緒にお仕事をさせていただけたら、嬉しいですね。

また、すごく細かいこだわりですが、改行や分岐線の位置、使用している言葉、文章の流れやリズムはおかしくないかなど、何度も音読をして、何回も試験投稿を重ねてから発信しています!ビビリなんです・・・。(笑)私の投稿は、1投稿あたり2000文字を超えることもあるので、いかに読みやすく、最後まで気持ちよく読んでいただけるかという点も意識しています。先ほどお伝えした「思いやりと想像力」にも通じますね。

(奥井)
Webデザイナーとして働くために、どのような勉強をされてきましたか?必要なスキル向いている人の特徴についても教えてください。

(八戸さん)
先ほども少しお話させていただきましたが、キャリアスクールでWebデザインを専攻しました。そこで、『Photoshop』や『Illustrator』などのデザインツールの使い方からデザインの基本原則、サイトを構築するためのプログラミングの知識などを習得しました。さらに濃い知識を得たいと思っているので、最近はWeb制作関連のオンラインサロンに入り、勉強を続けています。

Webデザインといっても範囲が広く、何をしたいかによって必要なスキルは異なります。デザインが好きならPhotoshopから、プログラミングに興味があるならコーディングの勉強から始めるのがいいと思いますよ。

向いている人の特徴は、綺麗なデザインを見るのが好きな人色にこだわりがある人ですかね。でも向いているかどうかは一度試してみないとわからないと思うので、興味があるならまずは挑戦してみることをオススメします。個人的には、向いているかどうかより、好きかどうかで職を選ぶのもアリだと思っています!

(今田)
前職でのご経験について、教えてください。PR会社ではどのような仕事をしていましたか?

(八戸さん)
メインの業務は、メディアへのプロモートでした。1日に2〜3本のプレスリリース※1を作成したり、1週間で15件以上のメディアキャラバン※2に行くこともありました。
※1 企業が新商品や新サービスなどをメディア関係者や世間に対して発表する文書。
※2 メディアに取材、掲載されるようプロモートするための面談。

具体的な案件を1つご紹介すると、あるアルコール飲料のCMのPRを新卒から退職直前まで担当していました。シリーズ化されているCMで、中でも一番話題となったのは2017年の春の新CMでした。出演女優さんがアルコール飲料を飲んでいるなか、一瞬だけ電話番号が映るシーンがあって。実はその番号は実在していて、実際に掛けると電話が繋がる!?なんていう仕掛けのあるCMのPRを行いました。

戦略的且つ段階的な情報発信と、各フェーズに合わせた緻密なメディア選定の元、個別のメディアプロモートを実施し、徐々にCMの仕掛けに関する情報が出回るようにすることで、世の中の人がCMの真相について気になるような状況を創出していきました。その結果、10番組以上の地上波OAを獲得したうえに、Twitterでのトレンド入りを果たし、Yahoo!トピックスのトップにも掲載されるなど、大きな話題をつくることができました。
PRは世の中に影響力を与えられる、やりがいのあるお仕事だと思います。

(羽生)
プロモーターとしての経験が、Webデザインのお仕事に活きていると感じることはありますか?

(八戸さん)
今のお仕事で活きているなと思っているのは、PR会社で山ほど書いてきたプレスリリースやニュースレター、報道資料の作成で培った文章作成力それから、メディアにプロモートすることで身についた、商品やサービスの魅せ方のスキルですかね。

ホームページをつくる際、キャッチコピーやコンセプトテキスト、メニューの項目などのテキストが必要となってきます。大企業であれば、それらを決める担当の方がいらっしゃることが多いのですが、私が今一緒にお仕事をさせていただいている個人事業主の方は、とても素敵なサービスをされているのに、その魅力を打ち出し切れていないことがあったりします。

そこで、「どのように魅せたいか」についてのご相談、ご提案もさせていただいています。前職の経験が役立っているなと感じる点でもあり、他のWebデザイナーの方と差別化できる点だとも考えています。

(石原)
最後に、design88としての展望と八戸さんご自身の今後の目標をお聞かせください!

(八戸さん)
お仕事では、今はサイト制作や紙ものデザインを中心としていますが、今後はディレクション領域やSNS周りを強化して、よりお客様に喜んでいただけるサービスを拡充していけたらと考えています。また、ご一緒させていただいたお客様からまた依頼してもらえたり、さらに他のお客様をご紹介していただいたりと、お客様から信頼いただけるような仕事をしていきたいです。「あなたにやってほしい!」と思っていただけることは、この上なく嬉しいので、そんな存在を目指して活動していきたいです。

私自身の話でいうと、これから結婚も出産もしたいと思っています。そういったライフイベントを楽しみつつ、その時々に合わせた、自分自身が心地よいと思う生き方を模索していきたいと思っています。

(学生キャスター一同)
八戸さん、ありがとうございました!!


インタビューの感想

(今田)
印象的だったのは、会社員の頃から個人の名前で覚えてもらうことを意識されていた点です。そのために、何度も折れずに電話を掛けたり、携帯電話でより密なコミュニケーションをとるといった独自の努力や工夫をされていて、ほかの人がやらない・できないことに取り組む姿勢をお持ちだからこそ、フリーランスとしても活躍されているのだなと思いました。

(羽生)
フリーランスという働き方だからこそ、案件獲得のアプローチの仕方から八戸さんの価値観や考え方が活かされているというのが伝わってきました。
前職を退職された後、興味のあったことにたくさん挑戦したり新しい分野の勉強をされたからこそ、Webデザイナーというお仕事に辿り着いたことがわかり、社会に出てからも向上心を忘れないことの大切さを教えていただけたように思います。
コロナ禍で在宅ワークが普及し働き方が大きく変わると言われていますが、このタイミングでフリーランスの方がどのように働いているのかを知ることができてとても勉強になりました!ありがとうございました。

(奥井)
過去の想いや正直な気持ちを教えていただきました。退職後は自分の気持ちや心の動きを大切にした働き方をしているとおっしゃっていて、言葉の節々から八戸さんらしさが伝わってきたように感じます。自分の気持ちを大切にすることで、生き生きと仕事ができるんだと感じました。
私も自分自身と向き合い、「好き」を仕事にしたいと思いました!

(石原)
PR会社からフリーランスへと、ご自身のやりたいことに沿った人生選択をされている姿が印象的でした。いつどんな夢を抱くか想像がつかない中で、その都度、最善の努力をできる人になりたいと感じます。貴重なお時間、ありがとうございました。

(山本)
フリーランスという新しい生き方を知ることができました。特に、「どう見られたいかではなく、どう生きたいか」という言葉が一番心に残りました。働き方から就活のことまで親身になって教えてくださり、その優しさが八戸さんの魅力だと思いました。

この記事は私達が担当しました

  

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