第13回「ベンチャー企業に聞いてみよう!」では優良ベンチャー企業の経営幹部候補の転職に専門特化した人材派遣会社、株式会社アマテラスの藤岡清高社長にインタビューさせて頂きました。
概要
株式会社アマテラス ( 2016年4月現在のホームページより )
代表取締役 藤岡 清高 様
事業内容
1、優良ベンチャー企業、スタートアップに専門特化した人材紹介事業
2、優良ベンチャーのCEOに直接繋がる転職サイト『AmaterasOnline』の運営
設立: 2011年4月5日
社員数: 17名(アルバイト・インターン含む 2021年1月)
問い合わせメールアドレス: info@amateras2011.jp
所在地: 〒153-0062 東京都目黒区三田1-12-26 Ebisu Borg 101
ここからが学生キャスターからのインタビューです
(河邊さん)どのような仕事をしているのか教えて下さい。
(藤岡社長)一言で言うと、ベンチャー企業に経営幹部人材を紹介しています。特徴としては、数多くあるベンチャー企業の中でも社会的意義のあるベンチャー企業をより成長させるために、より優秀な人材を送り込んでいます。うちの会社を語る上で“日本からグーグル、フェイスブックを100社創る”が欠かせない言葉なのですがこれを本気で目指してやっています。
グーグルもフェイスブックも小さな会社から世界を変えるような大きな会社へ成長しました。
日本からもそういった会社を輩出していきたいです。単に人材を紹介したいのではなく、今後伸びそうかどうかを見てそういった会社とお付き合いしています。他の人材会社と違う点は、お付き合いしたいと言ってくれている会社の中でも選んでいるという点です。では、どのような会社が優良でそれらを選んでいるかというと、社会的解決力がある会社です。例えば今の時代なら、再生エネルギー、女性の社会進出のための家事代行サービスや、シニア向け支援などをやっている会社などです。こういった会社は伸びるべきだと思うのでこのような会社に人材を紹介しています。
(河邊さん)どうしてこのような仕事をするようになったのですか?
(藤岡社長)最初は人材会社をしようとも思っていなく、全くの未経験でした。しかしこれをやらなければいけないと思ったのです。
まず僕の経歴からお話すると、前職ではベンチャー企業の実行支援の仕事をしてきました。そこで1000人以上の経営者の方たちと会ってきました。経営者の一番の悩みとは何だと思いますか?実は資金集めではなく人材集めなのです。優秀な人材を採用したいのにできないのが一番の問題なのです。だから、そこを解決したいと思いました。また前にいた会社の社長が、僕は人材のビジネスに向いていると思うとアドバイスをしてくれたことで未経験の人材ビジネスに飛び込みました。
もう一つ言うと、人材会社は沢山あるのに、儲からないという理由で誰もベンチャー企業をサポートしないのです。みんなお金を払う会社とお付き合いするので、誰かがベンチャー企業のサポートもしないといけないなと思いました。ベンチャー企業の社長は変な人や怖い人が沢山います。だからベンチャー企業に人材を紹介するということは、そういった怖い人や変な人ともお付き合いしていかなければなりません。面倒な人がいること、採用枠が少ないなどでベンチャー企業に人材が集まらないとも思っているので、だからこそ僕はやっています。
(河邊さん)起業にあたって苦労したことと、この仕事をしていて楽しいこと を教えてください。
(藤岡社長)楽しいことは、手応えを感じやすいところです。アマテラスを経由してベンチャー企業に参画した社員が活躍して会社が急成長するのを実感できます。そして社会的意義のある会社に成長し、その会社の社長から「君が人材を紹介してくれたことにより会社が急成長した、ありがとう」と言われ、そしてその時紹介した社員も喜んでくれます。さらに社会からもそのような会社が賞賛されると自分が褒められているような感覚にもなります。ありがとうと言われることが多く、社会に貢献しているなあと感じ、それがやりがいにつながっています。
苦労したことは、沢山あります。僕も36歳でこの仕事を始めるまではサラリーマンをしていて、毎月25日にお給料が振り込まれる生活に慣れていたので、最初の3か月ほどは売り上げの悩みもありました。あと、今でこそ名前が知られるようになってきましたが、最初の頃は会社名にブランド力がないのですごく下に見られたりもしました。前の会社で営業をしていた頃は会社名が知られていたので馬鹿にされたことはなかったのですが、独立した瞬間に相手にされなくなったことや、冷たい扱いを受け、今まで付き合ってきた方達と連絡が取れなくなることなどの経験もありました。
そういったマインド的な辛さが大きかったです。売上げが上がり始めて何とか食えるなと思った次に苦しかったことが自分のお金でオフィスを構えたことでした。あと自分のお金で人を雇う経験もなかったので怖かったです。オフィスを構えて売上げが上がらなかったらどうしようと思い、とてもプレッシャーでした。でも、結果的にオフィスを構えることで仕事が効率よくなったので良かったです。 辛いことも沢山ありました。騙されたこともありました。人材紹介なので企業に人を紹介したら成功報酬がもらえるのですが、人を紹介しその人が採用にされたにも関わらず、お金を一切払ってくれない会社にも遭いました。やっぱり名前も知られていない会社だと舐められ、ここまで馬鹿にされるのだなと改めて感じました。
あとは自分の成長に関してもありますね。社員が大勢いる会社に勤めると周りにいる優秀な方から沢山学べるじゃないですか。自分で起業したら誰も何も言ってくれない。だからビジネスマンとして成長しているのか不安になりました。中には起業して社長になることで天狗になってしまう人もいましたが、そうはなりたくなかったです。いろいろな社長を見てきたので、謙虚でいる、成長し続ける人になりたいと思っています。社長になったことで自分の成長が止まってしまうことが怖かったので、尊敬している方達に定期的に会うようにしています。そういう人たちは厳しいことを言ってくれるので、厳しいことを言ってくれる人たちと極力付き合うようにしています。
(伊波さん)ベンチャー企業と大企業で働く違いはありますか?
(藤岡社長)30、40代はベンチャーだと幹部人材なのですよね。大企業ならまだまだ若手だと思うのですが。大手企業だと若手で会社の方針に沿って遂行していきますが、ベンチャー企業は自分で考えて自分で売り上げやコストに対して責任を持ってやっていくので、視座や責任の大きさが全く違ってきます。だから自立性や自分の考えに大きく影響してきます。
うちの会社で30代くらいの人が入ってくるなら、大まかな方針だけ伝えて細かな指示は出さないですね。自分=会社、経営陣の立場でやってほしいですね。大企業だと、できる仕事の範囲や権限も狭まると思うので、成長できる度合いも違うと思います。 ベンチャーの良さで一つ言えることは、自分で道を作り、好きなようにし、社会貢献をしていく中で自己実現を果たすことができます。だからこそ達成感を大きく感じることができると思います。
(河邊さん)初めて働いた会社はどのように決めたのですか?
(藤岡社長)多分これ良い記事にならないと思うのですが(笑)、新卒の時は何も考えていませんでした。学生時代はサッカー部に所属していて授業にもあまり出席せずサッカーばかりしていました。僕は今40なのですが、1998年の当時はベンチャーに行くなんて選択肢はありませんでした。何をしたいかもなかったです。ただ何となく起業についてかっこいいなとは思っていて、その当時から社長になるという憧れは漠然とありました。
その当時は銀行、商社が人気で、みんなが受けるから受けようという感じでした。銀行の中でも都市銀行だと社長と一緒に働くことができるというのを聞いていたので、銀行が面白そうだなと思い受けました。体育会サッカー部は企業から人気というのもあり、内定をたくさん頂くことができました。その中でも一番元気そうでやんちゃな感じの人たちが多そうな住友銀行を選びました。
(河邊さん)採用で女性に対して意識することはありますか?
(藤岡社長)男とは違うと感じることはあります。銀行にいた時は結婚したらやめるという文化がありました。でも当時からそのような文化をおかしいなと思っていました。実際自分が採用する立場になった時、男だろうが、女だろうが、学歴も関係ないなと思いました。仕事ができるかどうかだけを見るので女性に対してあまり意識しません。
ただし、生理的な差はやはりあるので、ハードワークをこなさなければならない場合、男を採用するでしょうね。 だからこそハードワークに依存しないマネジメント作りが大切になってくるのだと思います。うちの会社にも優秀な女性が二人いますが、9時5時で絶対に帰ると決めているのでやっていけています。どんどん女性が活躍できる経営体制を作っていきたいと思っています。
(伊波さん)学生のうちにやっておいたほうがいいということはありますか?
(藤岡社長)学生のうちにしかできないことをやったほうがいいと思います。 正直な私の意見としては、インターンをすることは優先順位が低くてよいと思っています。働くことは社会人になったらいくらでもできるのですから。学生の頃、僕はおかしいくらいサッカーしかしていませんでした。自分の好きなことをすることが大事だと思います。かつ、学生のうちにしかできないこともやるべきだと思いますね。 あえて他の人ができないことをやってみるのもいいかもしれないですね。
僕は大学3年が終わった時に、1年間休学し、海外へ行きました。サッカーが好きだったのでイギリスに行くことを決めました。サッカーという武器があったからイギリスへ行ってもサッカーを通じて友達ができ、地元のチームに参加した経験もできました。自分にしかできないこと×好きなことをやるといいでしょうね。他の人がしないことで何かを極めた経験があるといいと思います。 ただ今思えば、もっとたくさんの人と関わればよかったなと思います。同じ大学の友達やアルバイト先の知り合いなど、狭い範囲でしか関わっていなかったので、いろいろな会合に参加すればよかったなと思っています。
(伊波さん)この世代の学生になれるとしたら何をしますか?
(藤岡社長)サッカーはしていたと思います。(笑)プラス、起業まがいのことをしていたと思います。インターンは誰にでもできますよね?そういうことではなく、自分にしかできないような、関心があるような分野で起業をしていたかな。あと、僕は差別が嫌いなので社会運動のようなこともしていたかもしれません。
実は僕も高校の頃、差別を受けたことがあるんですよ。全国からお金持ちが集まってくるような学校だったのですが、僕は田舎出身のため馬鹿にされました。能力ではなく、出身地など自分ではどうしようもないことを馬鹿にするのは間違いだと思います。だから差別をなくす運動に参加していたかもしれないですね。今でも弱い立場の人を助けたくなるという思いがあるからこそ、ベンチャー企業の応援をしているのだと思います。
(河邊さん)いつからサッカーをしているのですか?
(藤岡社長)小1からです。小学校の時がキャリアハイ(笑)でした。全国大会に出場するような強豪チームでしたのでみんな天狗になったのでしょうね。みんな中学に入るとグレちゃいました。(笑)高校の時は、かつてのチームメイトが暴走族に入っていました。その時、あまり小学校の時に勝利至上主義でサッカーをやるのは良くないなと思いましたね。
サッカーをすることはいいのですけど、勝てばいいとしか思っていなかったからです。監督が育成のことは考えておらず、とにかく勝てばよい、相手のチームをなぎ倒せというようなプレイでした。そうしたら中学に入るとみんな荒れました。私はそんな状況を見て、むしろサッカーを通して人間教育をしたいなと思っています。
自分はサッカーを通してチームワークなどたくさん学んだつもりです。指導者次第で子供の人生は大きく変わるとおもっています。ですので、いつかは自分でサッカースクールも持ちたいなと考えています。サッカーコーチのライセンスも取得しています。 今、企業研修でブラインドサッカーが取り入れられているのですよ。キーパー以外が目隠しをするので、正確にアドバイスをしないといけないのが難しいです。コミュニケーションってこれほど大事なのか!というのをブラインドサッカーで学びました。
会社でもそうなのですが、相手の立場でものを言わないと伝わらないでしょう。サッカーで目隠しをするとボールの位置もわからないでしょ。こっちこっちと言われてもどっちかわからないし、左右もわからなくなる。全部相手の立場にならないと伝わらないのです。また目隠しをすることで、相手の方が偉い、男か女かなども関係なくなるので、誰もがきちんと伝えるということを大事にします。みんなが相手を思いやる気持ちも出てくるので、いいですよね。以前はブラインドサッカーって何が楽しいの?と馬鹿にしていたのですが、得られる一体感はすごいと思いました。そのあとブラインドサッカーで出会った人と飲みに行っても、初めまして同士なのにとても仲良くなれます。体力が必要ではないので女性でもできますし、ぜひやってみてください!
〜さらに、様々な質問インタビューにじっくり応えて頂きました。想いある今後の展開、とても楽しみです!〜
(河邉さん) 社長の想い、会社で働いた経験からの起業のお話、とても面白く、勉強になりました。前回のインタビューで伺った社長の方との共通点、考え方があるのも発見でした。今後も、多くの経営者のかたのお話を聞いて、いろいろと考えるキッカケにしていきたいと思います。